会話のない「ひきこもり」は家族の勘ぐりあい

 ひきこもりの人が163万人いるという。  次のことを書いた。

 全国引きこもりKHJ親の会代表の話しでは、次のような特徴があるという。 アパシー、モラトリアム型が2,3割、何かの精神疾患によるものが7,8割。 後者に共通なことは、対人緊張、対人不信、対人恐怖。

それぞれの地域の自治体や親が共同で、心理療法の治療体制を作っていく必要があるだろう。臨床心理士などがこういう領域に参入できるような財政的措置をとらないと、取り組む人が現われない。

ひきこもり・家族の勘ぐりあい

 斉藤環氏の「ひきこもりはなぜ「治る」のか?」(中央法規)で、こんなことが起きやすいという。
 ひきこもっている人と家族(親か配偶者が多いだろう)との間に会話がなくなっている場合である。
 親はそんなことを考えてはいないのだが、会話がないと、勘ぐり、妄想、疑念をふくらませていく。一方、親のほうも、勘ぐり、妄想、疑念をふくらませる。  本人は怒っているためとか、確信犯的にひきこもっているのではないのに(不安障害的または、うつ病的な症状としての対人恐怖のためにひきこもるのかもしれない=大田注)次のように誤解する。    家族が会話しているとこんなことはないが、会話がないと、こういう誤解、勘ぐり、妄想、疑念が起きやすいので、ひきこもりの人がいる家庭では、会話を絶やさないことが大切だという(次回)。
 そして、病気の診断基準に合致する「病気」ではなくても、対人恐怖、対人緊張が多いのだから、これを改善することから始めたらいい。そのためにも、家族が変わる、家族が行動することが望まれる。こういうことに関心のない他の人は動きがにぶい。本人と家族が支援を求めて動かないと。
 解決までには長期間かかるから、各地域に、対人恐怖、対人緊張、うつ病などの心理療法の治療の場、居場所、デイケアの場を作っていく必要があるだろう。