ニートの子どもに親苦悩

 NHK総合テレビで、「急増するニート・親の苦悩」(クローズアップ現代)があった。(11月7日)
 ニートから脱出する親たちの試みが紹介された。キャリア・カウンセリングからの支援であった。ニートの子どもも働きたいのだが、働けないのだ、親が責めるだけだは解決しない、ということであった。親が、子どもと会話して問題に気付いて、問題解決に向けて適切な対応をしていくのがよい、という。責めるだけではなくて、日常身見近なできることをさがしてやって、少しづつ自信をつけられるようにしていく方向が教えられた。身近かなところでの行動をするということの中で解決の糸口をさがそうとする「行動療法」的な手法に見えた。

 こういうニートの支援活動の中では、やはり、心の病気やストレスによる心身症という視点もあれば、解決がもっと早いだろうと思う。

 ニートは、病気によるものだけではないのだが、それでも、心の病気、心身症によるものがある。そういうケースでは、それを治療しない限り、いくら、責められても、会話しても、働けない。
 テレビで紹介された次のケースは、病気であるようだ。同様の状況があれば、親が子どもの問題を把握することが重要だが、病気の場合、働きかけは親よりも、専門家による病気の治療をするべきだと思う。親の介入の限度を考慮しないと、かえって長引かせて、悪い状況においこむ。病気ならば、病気を治すことは、専門家の支援を得るのが賢い。  うつ病は、薬物療法でなくても、治ることが多い。意欲がない、外出したくない、というのも、うつ病にある症状でもある。ニートの一部は、そういうことかもしれない。体調をくずして、ニートになっている、意欲がない、外出したくない、人に会いたくない、というならば、うつ病である可能性がある。そうであれば、うつ病のカウンセリングを受けないと、いくら、キャリア・カウンセリングを受けても、ニートから脱出できないだろう。そういうことに詳しい、相談機関にも助言を得るべきだ。そうしないと長引く。うつ病ならば、行動的介入でも治ることがある、だが、認知的介入が効果が早いということで、認知療法が発展した。それで反応しない場合でも、自分の「認知のしかた」を洞察する療法がさらに高い治癒率があることがわかってきた。
 ニートの支援には、必ず、まず、心の問題の視点も入れていかないと、支援対策にズレがおきます。心の病気ではない、と判明した人に対しては、それ以外の支援をすればよい。
 ニートになっている人の中には、うつ病、パニック障害、対人恐怖症、心身症などの病気によるものもあるということを考慮していないと、本人と家族の苦悩を長引かせるでしょう。