ニート

「生活保護」に寄生するニート

 週刊誌「Yomiuri Weekly」(10.16.2005、読売新聞関東本社)に、「急増! 生活保護ニート」の記事(ジアーナリスト、上野玲氏)がある。

 こういう見出しだ。夢を追うタイプの人が、親の支援を受けられなくなって、結局、生活保護を受けるという。毎月約10万円受ける。これが、国民の負担になっている。
 働けない(働かない)人には、種々のタイプがある。そうだとすれば、「ニート」とひとくくりにしてしまうのは乱暴で、種々のタイプがあるのなら、名前をつける意義もない。だが、とにかく、 働かない人のうち、「自己愛タイプ」が、この「生活保護」を受けるようになるというのだろう。
 生活保護の財源は、国が4分の3、自治体が4分の1になっている。受給の要件は、老齢、身体ないし精神障害などの理由で仕事ができず、収入が確保できないことだ。
 莫大な負担となってきて、国の負担分を減らそうといううごきもでてきた。自治体が、応じきれないと、支給額が減額されるとか、受給基準が厳しくなる。生活保護を受ける人は苦しくなる。
 上野氏はいう。「生活保護ニートは、「生活保護だけでなく、「ニート」問題として一緒にとらえられなければならない、ということだろう。」

 上野氏が紹介しているのは、自己愛タイプの働けない(働かない)人であるが、自己愛のタイプの人は、親から支援を受けている時、自分で夢を追い、たいして苦しんでいないような、まだ心の病気ではない段階がある。この段階では、心の病気ではない自己愛タイプの態度・行動であって、うつ病の気分障害、対人恐怖、パニック障害などの不安障害を治すのとは異なるので、病理のカウンセリングでは治すことは難しい。この種のタイプも、普通の仕事に従事する気はなくて、親の支援で生活しているが、長く無就業でいるうちに、そのような自分を嫌悪・否定したり、親の経済事情が変化したりして、悩み出して、やはり、うつ病になってしまうことがある。この時期には、精神科医に「うつ病」との診断を受けて精神障害者として「生活保護」を受けるきっかけとなるだろう。

 もちろん、これは一部だ。就職したくてもできない人や、心の病気で、生活保護をよぎなくされる人がいる。だからこそ、法で保護される。中学、高校、大学、そして、就業直後に、心の病気(うつ病、パニック障害、対人恐怖症など)になって、治らず、働けなくなってしまう事例も多いようである。これらは、本人が苦しんでおり、治って、学校を卒業したい、働きたいと強く思うだろうから、支援の仕組みによっては、問題の解消ができそうである。この場合には、若者の、うつ病、対人恐怖などの心の病気の予防、治癒対策が関連する。不登校、児童生徒のひきこもりの問題である。いじめからの、不登校、うつ病もあるから、「いじめ」問題とも関連する。薬物療法では、治療が困難で、本人も、薬物療法ではなじめないと感じているような問題には、心理療法による介入が必要であろう。不登校のきっかけが、先生の言葉による、というのも多いのであるから、これは、その直後に、カウンセリングすれば長続きさせない(生徒側の情動の反応の問題である場合)で、復学させるか、先生の言葉に反応するのは正当性がある場合(生徒側だけに問題があるのではなく、先生にも問題がある場合)、学校に対策を求めるか、転校などの対策も考えられる。
 こういうのは、親の適切な対応で、不登校から、働けなくなってしまうのを防止できる。生徒の不登校の原因を十分に共感、分析することなく、妥当な対策を検討せずに、ただ「学校には行かなければだめだ」と強くいうだけでは、解消できない児童生徒もいるだろう。不登校になり始めた時に、親が原因をよく聴いて、適切な応対をするという、早期に適切な対策をとるのがよい。そうするためには、親と子が心のうちをよく開示し、親がよく聴く態度が必要である。母親だけでは、対策がむつかしい場合があるので、どんなに忙しい場合でも、父親が、子どの問題を、「子そだては、母の役割だ」といって、母だけにおしつけるようでは、母が立ち往生して悩み、長引かせてしまうこともある。早期に、家族ぐるみで、正確な原因を話しあって、家族で問題解決にあたる(カウンセラーに相談しようという判断も含めて)べきである。