ニート家庭「凄絶」白書
(Yomiuri Weekly、8月14日号、2005年)
- 子どもをニートにしてしまうのは、親の甘やかしだという。
- 損失
家族の中にニートが一人でもいると、大きな損失をこうむるという。その経済的損失を、「子どものかけるお金を考える会」の人が試算して、グラフにしている。それを読み取ると:
- 子どもが全部独立した家庭では残った両親は経済的恵まれた人生を送る。しかし、ニートとなった子どもを一人持つと、その子が収入なく、親に依存するので、経済的な負担となり、親が老齢になる頃、貯金が底をついて、悲惨な事態を招く。
- モデルの家庭で試算すると、ニートが一人いると、その子への出費が続いて貯金が伸びず、ニートのいない家庭と比べて、父が65歳の時に、貯金の額が約1千万円少ない。
- ニートの家庭では、父が69歳の頃、貯金がゼロとなり、借金生活に入る。その時、ニートの子は39歳。ニートのいない家庭では、父69歳の時、貯金が1千5百万円ある。
- 父が78歳で死亡する。その時、ニートのいる家庭では、借金が、1千万円である。ニートの子は、48歳、ずっと無職である。残された母、75歳と、ニートの子48歳はどうやって生活していくのか。土地家屋を売る? その後は? 母が死んだらどうなる?
ニートのいない家庭では、父78歳で死亡の時、貯金が1千5百万円くらいある。残された母はこれで生活できる。他の子は自立している。
ニートの子がいると、経済的な損失のほかに、家族旅行に行けない、いつもニートの将来を心配してストレスがあり、場合によって、家庭内暴力が起こったり、他の家族が心の病気になったり、心理的な負担が大きい。
ニートの子がいる家庭は「凄絶」だという。
- 原因
子どもをニートにするのは、親の「甘やかし」が原因だという。
子どもに食事を運ぶ親が悪い。その甘やかしが、子どもをニートから脱しないようにしてしまう。
「金を出すのは愛情ではない」甘やかす親がかえって子どもの自立を妨げ、悲惨な将来を招く。
- ニートを作らないためには
子どもをニートにしない心得は「入り口で突き放せ」
学校を卒業して、就職して、すぐやめてしまう。「やりたいことと違っていた」。その時が大切。甘やかすと一生ニートにする。
親の資金で開業して、うまくいかず失敗。その時も、甘やかさないのが大事。不憫だからと、又、次の援助というのが、ニートにしてしまう。
「わが子を段階的に追い出せ!」
一部の要点を紹介した。詳細は、実物をご覧下さい。
ニート、あるいは、ひきこもり、には、心の病気(うつ病、パニック障害、対人恐怖、パーソナリティ障害など)の場合と、そうではない場合がある(夢追い人、したいことがないといって就職しない人、など)。両方の場合とも、早い時点で、適切な対策をとるのがよい。心の病気の場合には、病理のカウンセリングを受けること。心の病気でない場合、親は厳しい態度を見せて、甘やかさないことと、夢や怠慢を厳しく修正するよう指導するカウンセリングを受けることであろう。
暴力をふるったり、何だかんだと口実をつけ「カウンセリングを受けない」と子どもがいうのを受け入れてしまうのも、甘やかしである。変わるあてがないのだから、それがニートにしてしまう。これについては、この問題にかかわる人の共通意見である。別に紹介する。
家族だけであきらめてしまわず、外部の支援を求めつづけるべきである。治療やカウンセリングを受けさせるべきである。数回、数カ所、ためしたが、だめだったとあきらめてはいけないだろう。それでニートは解決しないのだから。同じ悩みを持つ家族の会に参加して、解決策をグループでさぐっていくべきだろう。社会の仕組み、社会の支援がないのも問題なのだから。相談にいっても、うまくいかないのは、本人、家族の問題のほか、相談機関の力不足という社会の問題でもある。