暴力で離婚した元妻を殺害

 広島県で、元夫だった人が、元妻(Kさん、36歳)を殺害して、遺体遺棄をした事件があった。2006年6月、元夫(31)が逮捕された。
 Kさんは、2004年7月、夫だった容疑者の暴力に困って警察署に相談し、地裁から「周囲に近づかないように」とする保護命令が出て、11月には離婚した。

 繰り返される家庭内暴力(DV)があったようである。DVにも、種々の背景があるようだが、そのうち、ささいなことでも激しく怒り、暴力を繰り返すのは、パーソナリティ障害の一つの症状である場合がある(ひきこもりがながびくうちに、反抗的になって、DVになるのは、この障害ではないだろう。)
 境界性パーソナリティ障害の場合、アメリカでは、「弁証法的行動療法」が効果があると報告されている。境界性パーソナリティ障害ならば、日本でも、積極的な助言をして治療する精神科医、セラピストもいるようだから、自分や配隅者、子どもが、それではないかと思う人は、そういうところをみつけて、助言を受けるとよい。通常は、境界性パーソナリティ障害であっても、殺人はしない。ただ、暴力をふるう人はいる。診断基準の一つに「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす。いつも怒っている。取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)」というのがあるからである。非常に積極的な治療(セラピー)をするようである。カウンセリングではないことになる。
 パーソナリティ障害の診断基準に該当しなくても、激しい怒り、暴力の治療は、境界性パーソナリティ障害の治療と同様の心理療法で効果があるだろうから、近くのカウンセラーで、この治療ができるところに相談したらいい。(06-493)