脳外傷後のうつ状態
 =リハビリテーション患者と「うつ」(2)

 どのような悩みでも、その心理的対処をうまくしないと「うつ病」になるおそれがある。身体の病気になっても、それを心理的に苦にしすぎるとうつ病を併発する。それに気がつかないでいると自殺される。自分の問題がつらいもので、コントロール不能である、解決できないということが予測されて、否定的な思考を繰り返すと、うつ病になる。
 「リハビリテーション患者とうつ」を特集した雑誌があるので、そこから簡単に事情を要約している。今回は、「脳外傷後のうつ状態」である。  リハビリテーション専門病院で治療を必要とする外傷性脳損傷(脳外傷)の患者に、うつ状態が出現することがある。当雑誌に、その割合を報告した事例が、紹介されている。以下、雑誌の論文による(注1)  脳外傷後の、うつ状態として、「記憶・注意・集中力の低下、人格変化、情緒や行動の障害などを呈している。なかでも、不安、抑うつ、脱抑制、易興奮性、病識欠如などの情緒や行動の障害は、リハを進めていくうえで大きな問題となる。」(注2)

 そのような「うつ状態」は、脳外傷による神経伝達物資の代謝異常、神経内分泌系の変調、病巣との関連、社会的要因などいくつかの原因が報告されている。
 論文の著者の病院では、リハビリテーション患者のうつ状態に対して、環境調整や薬物療法(SSRIなど)を行っている。
 「自己洞察瞑想療法」も、注意力の向上、感情処理法の効果があり、うつ病に効果があるので、リハビリテーションの場でも、試験的に適用してみることをすすめたい。