神経リハビリで意識集中、運動前野活性=兵庫医科大病院の試み

 脳卒中などの後に。手足のまひで悩むことがある。脳機能の改善を意識して訓練する「ニューロ(神経)リハビリテーション」の研究が進んでいる。兵庫医科大病院の試みの記事の中で、気になる文があった。

 「まひのない方の手を三角きんで固定しておいて、まひした手で積み木などの単調な作業を、短期間に集中して行う。
 つい使ってしまいがちな使える側の手を強制的に使えなくすることで、使えない手への意識と運動命令を集中させる。
「訓練では課題克服の達成感があることが大切です」と、道免和久教授(リハビリテーション医学)はいう。」

 入院して1日5時間の訓練を10日間続けると、ほとんどの人に改善がみられる。

 産業医科大病院では、ロボットを使ったニューロリハビリを試みている。
 「ロボットが強制的に脚を押し上げるため、回転するベルト(トレッドミル)の上を歩けるようになっているが、意識して自力でベルトを踏みしめるほどランプがたくさん点灯する。理学療法士からは「ランプがたくさんつくよう頑張って下さい」と声がかかる。

 「脳卒中のリハビリに力を入れる森之宮病院(大阪市)では、近赤外線を使って脳の活動状態を画像化する装置で、歩いている時の脳機能の変化を調べた。
 脳卒中で手足にまひの残る患者を対象に、理学療法士による積極的な歩行訓練の前後を比べると、歩けるようになるにつれ、脳の運動前野と呼ばれる部分の活動が活発になっていた。」 (朝日新聞 5/14/06)

 このようにリハビリテーションの場に、脳神経の機能の面から、新しい試みが研究されている。「意識集中」「課題克服の達成感」「意識集中と自発性」(=意識して自力でベルトを踏みしめる)という手法が使われている。意識集中、達成感、自発性などは、前頭前野の機能だから、こうしたリハビリテーション手法は、前頭前野を活性化して、うつ病の予防にもなり、積極的にリハビリに取り組む意欲が起こり、運動前野の機能回復に貢献するのだろう。