6=老年期の苦悩

高齢者への虐待=家庭における虐待の現状=神奈川2市と金沢市

 高齢者への虐待が社会問題になっている。身体的な虐待だけでなく、心理的、経済的な場合もあり、自分が虐待していることに気づかなかったり、周囲も見過ごしたりしがちである(1)。

虐待が行われる場所

 高齢者への虐待は、次の2か所で発生する。

高齢者への虐待=家庭における現状=神奈川2市と金沢市

 家庭における高齢者の虐待の現状について、神奈川県大和、綾瀬2市と金沢市の家庭における虐待防止へのとりくみが紹介されている(2)。
 虐待は、その人が苦しむだけではなくて、家庭に悲しい事件を起す。

金沢市の場合

 03年の金沢市の高齢者虐待実態調査によれば、身体的、介護放棄、心理的虐待が多い。虐待しているのは、息子、および、その妻である。被害者の8割が女性、75歳以上が7割を占めた。
 「息子」が「75歳以上」の年老いた「母親」を虐待するという構図が浮かび上がる。  虐待していることに気付いていない家族も少なくない。調査でも虐待をしている人の6割に自覚がなかった。
 虐待をなくすためには介護する家族のケアが重要であるという。「高齢者虐待防止連絡会」が結成されて、弁護士や家族の会などを含めて、解決をめざす。

大和、綾瀬市の場合

 大和、綾瀬の両市に、02年4月、「高齢者虐待防止SOSネットワーク」ができた。市と県の保健福祉事務所が中心になって、虐待の相談や対応にあたる。
原因は様々。  虐待する家族は加害者で、高齢者は被害者と単純に分けられないという。
 虐待をやめさせるだけでなく、原因を探り、家族を含めてサポートすることがかぎだ。
 暴力をふるう家族に対しても精神面の相談に乗る。
 デイサービスなどを利用することで、家族の負担が減り、虐待がなくなったケースも。
 しかし、虐待される本人が、「自分の育て方が悪い。報いだ。」と、介入を拒む場合の対応は難しい。