6=老年期の苦悩
高齢者への虐待=家庭における虐待=厚生労働省の調査
高齢者への虐待は、主に、(A)家庭や、(B)施設で起きる。
高齢者への虐待=家庭における虐待=厚生労働省の調査
家庭における高齢者の虐待の現状について、厚生労働省が実施した結果がまとまった。朝日新聞による(1)。
虐待している人の3割が、息子である。
虐待されている10人に1人が「生命にかかわる危険な状態」で、ケアマネジャーの9割近くは対応が難しいとしている。
家庭における虐待の内容
身体的
50%
介護・世話の・放任放棄
52.4%
心理的
63.6%
経済的
22.4%
性的
1.3%
虐待の内容の説明はこちら
虐待する人
息子
32%
息子の妻
21%
娘
16%
夫
12%
妻
8%
虐待の要因(複数回答)
高齢者本人と虐待している人のこれまでの人間関係
48%
介護疲れ
37%
高齢者の痴呆による言動の混乱
37%
(介護の)知識や情報の不足
18%
ストレスやプレッシャー
13%
「介護する人の負担が重く、孤立していることが背景にあるとみられる。」
深刻さ
最も虐待が深刻だった時点でみると、2人に一人が「心身の健康に悪影響がある状態」
「生命にかかわる危険な状態」が10人に一人いた。
ケアマネジャーによる解決のむつかしい
ケアマネジャーに話したり何らかのサインを出したりした人が49%、虐待を受けていることを隠そうとする人が12%。
ケアマネジャーの88%が虐待を知っても自分では対応が難しいと回答した。その理由。
ケアマネジャーによる対応がむつかしい理由(複数回答)
虐待している人の介入拒否
38%
どうかかわるか技術的に難しい
34%
立場上難しい
30%
経済的理由で介護サービスを増やすのが困難
27%
自覚なし
さらに、詳細をみると、1991人の虐待のケースをみると、介護する側の孤立や悩みが背景にあることがわかる(2)。
虐待を受けた人と、虐待した人とが同居している割合が89%。
接している時間は「日中も含めて常時」が52%を占める。
虐待についての自覚がない
虐待していることに気付いていない家族も少なくない。
虐待を受けた高齢者
虐待されているという自覚がある
45.2%
自覚がない
29.8%
わからない
24.5%
無回答
0.5%
虐待をした家族
虐待しているという自覚がある
24.7%
自覚がない
54.1%
わからない
20.4%
無回答
0.8%
取り組み状況
虐待の相談や対応について全国の市区町村を対象に実施し、8割から回答を得た(3)。71の自治体に専門チームがあった。
自治体の対応
高齢者虐待に対応する専門チームがある市区町村
71
相談窓口の開設
155
一時的に虐待を受けている高齢者を受け入れるショートステイ事業
80
介護事業者への研修会の開催
43
(注)
(1)朝日新聞、2004年4月20日。「厚労省が医療経済研究機構(東京都千代田区)に調査を委託。訪問介護事業所など約1万7千カ所を対象に03年10月までの1年間に家庭で家族が虐待したとみられる事例を調べた。このうち、在宅介護支援センターと居宅介護支援事業所のケアマネジャーが回答した65歳以上の1991人についてケースを分析した。1991人のうち、75歳以上85歳未満が43%を占めた。」
(2)朝日新聞、2004年4月21日。
(3)朝日新聞、2004年4月21日。