６＝老年期の苦悩
高齢者への虐待
高齢者への虐待が社会問題になっている。身体的な虐待だけでなく、心理的、経済的な場合もあり、自分が虐待していることに気づかなかったり、周囲も見過ごしたりしがちである(1)。
虐待が行われる場所
高齢者への虐待は、次の２か所で発生する。
- (A)家庭で。（息子や息子の妻から）
- (B)施設で。（特別養護老人ホームや有料老人ホームなどのスタッフから）
高齢者への虐待の種類
厚生労働省の実態調査によれば高齢者虐待の種類と例には、次のものがある(2)。
【身体的虐待】
身体にあざや痛みを与え、外部との接触を意図的、継続的に断つ（殴る。つねる。無理やり食事を口に入れる。ベッドに縛り付ける）
【心理的虐待】
脅し・侮辱の言葉や威圧的な態度、無視、嫌がらせで精神的、情緒的に苦痛を与える（はいせつの失敗を笑ったり人前で話したりして恥をかかせる。侮辱を込めて子どものように扱う。話しかけても無視する）
【性的虐待】
本人との間で合意がない、性的な行為またはその強要（キスをする。懲罰的に裸にして放置する）
【経済的虐待】
本人の合意なしに金を使う。本人が希望しているのに金の使用を理由なく制限する（自宅を無断で売却。日常生活に必要な金を渡さない）
【介護・世話の放棄・放任】
家族が介護や生活の世話を放棄し、高齢者の生活環境や身体・精神的状態を悪化させる（食事を十分に与えず栄養失調の状態にする。入浴させず悪臭がする。室内にごみを放置。必要な介護・医療サービスを理由なく使わせない）
（注）
- （1）朝日新聞、2004年3月3日「くらし」。
- （2）厚生労働省が、2004年第一四半期に行った実態調査。同上、朝日新聞。