6=老年期の苦悩
(参考)
NHKテレビ「つい(終)のすみか探し」
=2004年4月22日放送
NHKテレビ「ご近所の底力」で「つい(終)のすみか探し」が放映された。高齢者になったら、また、配偶者に死なれたりしたら、子供と同居するか、一人暮らしをするか、選択を迫られる。一人暮らしの人は、生活の不便さや孤独から「うつ病」になったり、さらに自殺に至ることもある。
そういうふうにならないように、種々の「ついの住まい」を模索する試みが行われている。参考にしたい。
子供と同居せず自立して暮らしたい
一人になっても子供との同居を望まず、自立して暮らしたいと考えている高齢者は7割にのぼる。(H15 内閣府)
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このまま一人暮らし | 71% |
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子供との同居 | 20.2% |
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その他 | 8.8% |
高齢者向けマンション
(例)手厚いケアのついた高齢者向けマンション。
- 明るい部屋
- 健康に配慮した食事
- 看護士の常駐
- 介護が必要になれば、専用の部屋に移ることができる
- しかし、
- 4千万円以上の入居一時金
- 毎月20万円以上の生活費
高齢者向けマンションは、高額の金がいる。何かほかの手がないのか。
一人暮らしだが孤立
一人暮らしの例。
- 子供は独立して、遠くに住んでいる。息子は同居をすすめてくれるが、迷惑をかけたくない。
- そこで、一人暮らしを希望。
- 仲間をみつけるために趣味のグループに入った。
- 仲間と活動する時間は楽しい。
- しかし家に帰ると一人だから、さびしい。何かあっても、気付く人もいない。食事つくりも苦手。
これでは、趣味があっても、孤独や生活の不便さは解消しない。50代から夫婦で話しあい、少しづつ準備した方がよいという。
番組では、住居選びの裏わざの幾つかを紹介している。
(A)高齢者有料賃貸住宅
- 3Kの部屋
- バリア・フリー(段差のない床、車いすを使うようになっても大丈夫)
- 手すり(トイレ、浴室、玄関に)
- 緊急通報システム(トイレにボタン)=救急隊がかけつける
- 60歳以上が入居できる。
- 1階だけが高齢者向けで、上層階は、普通の仕様で若い家族が住む。
- 高齢者が多く住むので、団地住民のささえあいの活動もある。
- これは、国が建設をすすめている。
- 家賃、この例は、3万1千4百円。(場所によって違う)
- 国と自治体から補助(最高2万5600円)がでるため安くてすむ。
- 全国で1万7千戸。これから3年で、11万戸に増える予定。
(B)気の合う仲間と同居
主婦、原眞澄美さん(川崎市)が提案して、自分たちで作った共同住宅に住む。
自分たちで作るから、かなり割り安。
- 個室があり、共感する6人が共同生活。個室は、15畳のワン・ルーム。キッチンもある。電気で調理。車いすでも使えるゆったりサイズのトイレあり。
- 共有の30畳の大広間がある。いっしょに、食事したり、おしゃべり、したりができる。
- 一人になりたい時は個室に、誰かと話したくなったら共有スペースに出ていく。
- 入居一時金は、450万円。
- 毎月7万円の家賃と2万4千5百円の共益費。
- 20人以上の若いボランティアが食事や掃除を担当。
- 1階に、大きなスペースがあり、地域の人たちに開放されていて、趣味の会合が行われる。周り(地域の他の住民)から孤立しないように。地域のNPOにもサポートをお願いする。
- 1階には、訪問看護ステーションがあり、リハビリ施設がある。介護が必要になったら、入居者は介護を受けながら利用できる。地域の人も利用できる。
- 気の合う仲間と共同生活して、不安を解消。
割安ではあるが、自分たちで、新築するから、資金の問題(この場合450万円の入居金)がある人もいるかもしれない。
慶応大学の大江守之教授のコメント。
- これは理想的な形であるが、
既存の住宅を改造したり、集合住宅の一部をグループリビングにして、共通の居間的なものを持つとかいう方法でもできるはず。
(C)町ぐるみで安心の住みか
京都市春日地区。
これまでの住まいに住んで地域住民が高齢者をささえる。
- 各人が、従来の家に住む。
- その地区の高齢者を4つのグループに分類。
高齢者の8割以上が、元気であるため、この人々がボランティアとして他の人たちをささえる。、
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元気な人
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85% |
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外出が苦手な人
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虚弱な人
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介護が必要な人
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介護が必要な人は、公的なサービスを受ける。元気な人々が、外出が苦手な人、虚弱な人をささえることにする。
- 各戸に緊急通報装置が設置されていて、ボタンを押すと、1分もしないうちに、ご近所の人がかけつける。ボタンは消防署につながっていて、そこから、担当の「ご近所さん」に電話がいく。
- 別の「ご近所さん」が定期的に訪問して、
- 健康状態をたずねる。
- 種々の情報を伝える。(行政サービス、年寄り向けの犯罪)
- 困ったことがあれば、相談にのる。そして、庭の手入れ、手すりをつけるような簡単なリフォームなど、ご近所が手助け。
- 専門家が必要ならば、信頼できて安く施工してくれる業者を紹介する。
- 町の社交の場所がある
このようなサポートがあっても、
一人で家にいるとさびしいので、さびしさを癒す場所を設けた。廃校になった小学校を利用。住民てづくりのデイ・サービスの場所とした。
- 遊び、おしゃべり、「ここにくれば、友達にあえる」。
- 高校生がボランティアとして、遊びに参加してくれる。
- 若い住民も、手伝える範囲で手助け。
- 看護士の健康チェックや食事指導を行う。