6=老年期の苦悩
(参考)

NHK「健康長寿・日本一の秘密」

  =2004年9月20日放送 午後10時、「ニュース10」  NHKテレビ「ニュース10」で紹介された、健康長寿の秘訣。

 「健康寿命」は、ねたきりや痴呆にならずに過ごせる期間をいう。できれば、病気などで寝たきりにならずに長生きしたい、そんな指標。その「健康寿命」が男女とも長いのが山梨県である。

健康の秘密は「無尽」や仲間のつどい

 山梨大学医学部の山縣然太朗教授は、「どうして山梨県は健康寿命が長いのか」アンケート調査によって分析研究した。  その結果、興味深い結果がみられた。
 「無尽」を楽しみにしている人は、そうでない人に比べて健康を維持できる可能性が6.7倍にのぼることがわかった。  無尽は村人が定期的に寄り合いお金を融通し、助け合う集まり。山梨では今でも、これが盛んに行われて、仲間同志の楽しみの場として生活にとけこんでいる。
 秋山村は、全国で介護保険料が最も低い村である。そこのお年寄りのつどいが紹介された。村人は、どれかのグループに参加して集まり、会食、旅行などを行っている。  山縣教授の話「ある程度定期的に会えて、そしてそこで気心の知れた人と食事したり旅行に行ったり。そういうふうなことができる環境をもてることが大事」
 また、山梨では「ほうとう」を食べる人が多いが、この食べる回数が健康維持に関係していた。
 「ほうとう」を週4回以上食べる人の方が、食べない人よりも健康を保てる確率が2倍あることがわかった。  食材が健康維持に関係しているのではなくて、どのように食べられているかが関係しているらしい。「ほうとう」は、大勢が集まって、話をしながら楽しい時間の中で食べているのが、健康維持に効果があるらしい。

この研究から学ぶこと

 孤独であると、さびしく、一人で悩む事が多く、ストレスを感じて、免疫力が衰え、自律神経失調状態、さらに種々の身体の病気になったりするから、健康寿命を長く維持できない。また、「うつ病」などの心の病気になったりして、ひきこもり、自殺の危険もある。
 山梨県のように、地域の住民が、自分たちで集まり、雑談したり会食をしたり、旅行したり、同好のグループ別に趣味をしたりして、楽しく過ごせる場があるのが、心身の健康維持に貢献する。このような、グループを全国各地に展開したいものである。
 そして、そのような集まりにも出られず、心の病気になっていきそうな人、なってしまった人も、予防、治癒させることのできるグループもその中にいてほしい。承知のように精神科医による薬物療法だけでは、心身症も心の病気も予防、治癒に限界がある。このような、仲間のつどい、楽しい行事が大切であるから、官庁などのスタッフ、契約スタッフなど俸給を受けて活動する人のみに依存する仕組みでは限界がある。仲間のつどい、遊びの要素も大事であるから、住民の自発的、ボランティアによる活動の方が、派遣先の立場、利益、種々の制約に縛られず、活動できることもある。
 当協会も、次のような種々のグループの活動をしたいと提案している。それには、種々の趣味、強みを持ったボランティアのご参加をお願いしたい。  当協会は、秋山村のような、「地域のグループ」にめぐまれず、地元にそのような活動がなくて孤独、孤立している全国に散在する人々のために、地域を超えて大きな範囲で参加者を募って活動したい。他の活動とちがって、(A)(B)を持つのがユニークである。うつ病等を治癒させることのできるボランティア組織はほとんどない。精神科医や臨床心理士しかできないだろうという誤解や偏見のために。秋山村の例でもわかるように、仲間による遊びの要素が加わった活動は、報酬をあてにしないボランティアの方が向いている活動もある。
 そして、その中で、指導員、相談員が育ってきたら、地域の核となって、独立した組織をたちあげて、地域にも密着した活動にしていただきたいと思う。