高齢者「不活発病」の懸念、能登地震の避難所で
=能登半島地震-10
能登半島地震で、生活不活発病の人が出はじめたという報道がありました。読売新聞が
報道しています。「やはり、そうなったか」という思いです。
「能登半島地震の被災地では住民の避難生活が長期化するのに伴い、高齢者の心身機能
が低下する「生活不活発病」に対する懸念が高まっている。
被害の集中した石川県輪島市門前町地区のFさん(90)は3日朝までの10日間、避
難所で生活して自宅に戻ったが、立ち上がることが難しくなった。「(避難前は)家の中
をつえを使って歩いていたが、今は思うように歩けなくなった」と話す。避難所ではトイ
レに行く以外はほとんど体を動かさなかったという。」
「ひざが痛い、立ち上がりにくいという人が出てきている」
身体も心(脳)も使わない機能は、すたれていく。動きにくくなっていく。
「生活不活発病は、体を動かす機会の減った高齢者の心身機能が低下して歩行が困難に
なったり、生活の意欲が落ちたりするもので、2004年10月の新潟県中越地震で問題
となった。避難前は元気に歩いていたお年寄りが寝たきりになる恐れもある。」
新聞は、国立長寿医療センター研究所(愛知県大府市)の大川弥生・生活機能賦活研究
部長の助言ものせている。
- 「夜に寝る場所と昼に生活する場を分けることが基本」
と指摘する。同公民館では日中に毛布などを片づけて机を置いたところ、ほとんど動かな
かった高齢者が食事の際に水をついだり、片づけたりするなど自発的に動くようになった
。
- 「ゲートボールや庭いじりなど環境に合わせて動く機会を作るべきだ」
「輪島市は散歩を促したり、食堂を別室に設けて寝場所と分ける対策を取り始めた。さ
らに、歩行が困難な高齢者が動きやすいように、つえや手押し車を導入する方針だ。」(
2007年4月5日 読売新聞HP )
睡眠、身体の不調が出るのは、心理的なストレスの影響が強い人であるが、それが出な
い被災者でも、別の病気になっていくリスクがある。被災地の環境の悪化によって、避難
所や自宅で身体を動かさない人、横になってばかりいる人が出てくると、生活不活発病に
なっていく。被災前は元気だった人が、足を動かすことが難しくなって、要支援、要介護
状態になり、被災前に、介護レベルの軽かった人のレベルが悪化していく。精神活動も不
活発になり、うつや、認知症になっていきやすい。
こういうことは、大川氏らの調査でわかっているのだから、被災直後から、避難所など
で、被災者にその教育を行い、できれば、誰かが指導員となって、時間を決めて、一緒に
軽い運動を行なうのがおすすめである。
自宅ですごす被災者も、なるべく、毎日、何回か、身体を動かすことを日課とするように、行政などが、住民に啓蒙すべきである。室内で、行なうことができる「フリフリグッパー
体操」や「脳トレーニング2」(近日掲載の予定=室内で歩く、身体全体を動かす軽い運
動)をすすめたい。
なお、これは、被災地だけのことではなくて、他の地域の高齢者、若者にも、児童生徒にも、あらわれる。ひきこもりが多い人は、どの地域でも、どの年代でも、身体の病気、心の病気になりやすい。ひきこもりがちな人は、精神状態が不安定になりやすい。みな、そのことを理解して、運動をしたほうがいい。
「生活不活発病」の予防法については、次の記事で情報を集めておく。
( 0704-1079 )