数年、10年も苦しむ震災後のPTSD
=能登半島地震から22日
自然災害の後には、被災者がPTSD(外傷後ストレス障害)にかかることがあります。災害を経験した後に、随分、年月が経過してからも、なお、次のような症状が出る人がいる。
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(A)本人が暴露された外傷体験と類似した体験からの回避や外傷体験そのものの想起回避などの回避行動
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(B)侵入的回想(フラッシュバック)、及び
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(C)再三の夢での外傷再体験、
このような症状によって、社会生活が障害されることがある。影響は、数年〜40年にもおよぶことがある。
阪神・淡路大震災のPTSDについても、種々の研究があるが、神戸大学の
齊藤 誠一氏と岡田 由香氏が「生徒,児童の心の傷,その後―阪神・淡路大震災に長期的影響に関する研究―」をインターネットで公表している。
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神戸大学HP
これによれば、2004年10月に実施した調査において、震災から9年後においてもなお、多くの人がPTSDの診断基準の症状の一部、または、多くを経験している。
- こども
- 再体験 35.7%
- 回避 17.5%
- 生理的過緊張 35.7%
- PTSD傾向 7.0%
- 保護者
- 再体験 62.0%
- 回避 6.7%
- 生理的過緊張 13.3%
- PTSD傾向 4.7%
こういうことは、どの震災においても起こっているので、能登半島地震においても、これから数年にわたって苦しむ人が出るおそれがいるので、その予防と、治療のための活動が、この半年、特に重要になるだろう。
その治療、予防には、薬物療法、認知行動療法、眼球運動による脱感作と再処理(EMDR)、マインドフルネス心理療法などが効果があるとされている。こういう治療、予防法を早期に提供すれば、PTSDの発症率を低くできるはじである。