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災害ストレス・自己洞察瞑想療法
被災地で行なう呼吸法
「(図C3-4)やさしい呼吸法」の行い方
地震などの災害にあった人が、種々の心の病気になること、不安定な心になることを予防する呼吸法である。
独習できるような工夫をしていて、面接によるカウンセリングで指導している呼吸法とは異なるところがある。
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「(図C3-4)やさしい呼吸法」の行い方
- 用途=
これは基本的な実施法を述べている。種々の場面で、応用できる。今回は、とりあえず、予防法のみを掲載する。時間をかけて、他の場面でも、できることを述べていきたい。
- 姿勢=
- 自宅、学校や施設で、いすがあれば、いすに座って行なうことができる。
たたみの部屋、避難所などでは、床に正座、あぐら、など、楽な姿勢で行なう。起き上がるのがつらい人は、「横になって」行なってもよい。
- いすに座る場合、せもたれによりかからない。足は少し開く。ひざは、90度でなく、鈍角でよい。
- 両手をももの上におく。指折り数える場合は、手のひらを上にする。
- 目は、とじても、あけても、どちらでもよい。はじめのうちは、とじて行なうと、やさしい人が多いだろう。なれてきたら、目をあけていて、行なう。会話中や仕事中、勉強中に、つらいことが起きた時にも、実行できるように、似た状況で練習しておくのがよいためである。
- せすじを伸ばす。おなかを少し前にだす感じ。
- 呼吸は、はくのも、すうのも、鼻でよい(これが、人がいる時など日常生活で行なう形だから)。ただし、はく時、口を細くあけて行なってもよい。花粉症などで、鼻がつまる人は、口でよい。重要なことは、はくほうが長いことである。
- 呼吸法1=「数える呼吸法」
- まず、自然の呼吸を観察する。「今すっている。今はいている」と観察できる。2〜3秒で、1呼吸している。これを、30秒程度行なう。
息を観察するので、ほかのことを考えない。意識(注意)が、呼吸の観察に向かっている。
- 次に、息をはく時に、ほそく長くする。ゆっくりと、1,2,3,4と数えながらはいていく(4秒くらい)。4までいったら、すばやく、すうのに転じて、5,6と数えながら、すう。(2秒くらい)。
自然の呼吸ではなくて、独特の呼吸法をするし、数を数えるので、ほかのことを考えない。意識(注意)が、かわった呼吸をすること、数えることに向かっている。
- この呼吸法を行いながら、指折り数えていく。1〜6まで、1呼吸終わったら、左手の親ゆびを折る。また、1呼吸終わったら、左手のひとさしゆびを折る。こうして、右手の指も折っていく。両手で、1分くらいである。(6秒くらいで一呼吸だから)
- 両手指折りできたら、「気持が落ち着いている」と心の中で、2回繰り返す。「どんな感じなのか?」と考える必要はない。呼吸法を行なった後、どのような感じであろうとも、ただ、この言葉を心の中でとなえる。
- 10回を1セットとする。「気持が落ち着いている」と心の中で、2回繰り返す。この後は、もう一度、最初から繰り返したり、「呼吸法2」に移ったり、「消去動作」に移って終わったりする。
- 4にこだわらず、長く楽にできる人は、5〜6まではいてもよい。1〜6まではいて、7,8ですう。
4までは、苦しいようであれば、3まではくのでよい。1〜3まではいて、4,5ですう。
- 呼吸法2=「数えない呼吸法」
- まず、自然の呼吸を観察する。「今すっている。今はいている」と観察できる。2〜3秒で、1呼吸している。これを、30秒程度行なう。
息を観察するので、ほかのことを考えない。意識(注意)が、呼吸の観察に向かっている。
- 次に、息をはく時に、ほそく長くする。ゆっくりと、4〜5秒くらいで(数えないで)はいていく。4〜5秒程度(適当にながく)、はいたら、すばやく、すうのに転じて、すばやく(数えないで)、すう。(2秒くらいで)。はく方が、すう方の2倍くらいの長さ(はく方がながければ、適当でよい)。
自然の呼吸ではなくて、独特の呼吸法をしているので、ほかのことを考えない。意識(注意)が、かわった呼吸をすることに向かっている。
- この呼吸法を行う場合には、指折り数えない。数えないゆっくり呼吸を、大体(正確でなくてよい)、10回くらい(時間では、1分程度、適当な時間でよい)くりかえす。
(大勢で行なう場合、指導者が、1分程度、時間をはかって行なう)
- 1分程度、繰り返したら、「気持が落ち着いている」と心の中で、2回繰り返す。「どんな感じなのか?」と考える必要はない。呼吸法を行なった後、どのような感じであろうとも、ただ、この言葉を心の中でとなえる。
- 1分程度を1セットとする。1セットごとに、「気持が落ち着いている」と心の中で、2回繰り返す。
この後は、もう一度、最初から繰り返したり、「呼吸法1」(数える)に移ったり、「消去動作」に移って終わったりする。
- 「消去動作」
- 呼吸法を行なうと、深いリラクセーション状態にはいることがある。急にたつと、めまいがしたり、ふらついたりすることがある。ふつうの最適な覚醒レベルに調整する。
- 目を閉じて呼吸法をおこなった人は、目をあける。
- その場の状況をはっきりと自覚する。
- ジャンケンの「グー」「パー」を4回、くりかえす。
- ひじの屈伸を2回おこなう。「曲げて、伸ばして」
- せのびして、力をぬく。
- たちあがる。
避難所などで眠れない場合には
- 避難所など、ふだんと違う環境で眠りにくい場合には、
- 横になって、目を閉じたままで
- 数えない、ゆっくり呼吸をやりつづける(数えると、脳を使うので、眠りたい状況ではさけたほうがよい)
- やがて、(長くはくのではなく)自然の呼吸にまかせて、その呼吸を観察している
- こうしていると、つらいことを考えていないので、感情、HPA系の興奮はなく、そのうち、眠り込むかもしれない。眠れなくても「やはりだめだと」(興奮するようなことを)思わず、やり続ける。眠れなくても、さわぐよりはましなのだ、と受け入れる。
こういう方法をおすすめする。(もちろん、消去動作は行なわない。)
これが、基本であり、これを種々の目的で用いる。たとえば、
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