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災害ストレス・自己洞察瞑想療法
被災地で行なう呼吸法
地震などの災害にあった人が、種々の心の病気になること、不安定な心になることを予防する呼吸法である。
独習できるような工夫をしていて、面接によるカウンセリングで指導している呼吸法とは異なるところがある。
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「(図C3-4a)被災地で行なう呼吸法1(応用1=予防的実践)」の行い方
- 用途=
これは、「やさしい呼吸法」を主として、心の不安定さを軽い段階で、克服できるようにするために用いる。そして、心の病気やストレス性の身体の不調、心身症、生活不活発病になることを予防する。別に記載する「心の健康体操」を併用すると、効果が大きい。
主に、2つの利用法がある。
- 「心の免疫力」の向上=
ストレス対処法が弱い、感情的になりやすい、不安過敏性の傾向があると、被災後の、ストレスの多い生活を送るうちに、心の病気、心の病気やストレス性の身体の不調、心身症、生活不活発病などになりやすいので、日頃から心の鍛錬をして、いわば、「「心の免疫力」のようなストレス耐性力を向上させるのが目的である。別に、危機がなくても、長期的な訓練を継続する。
- 「短期的危機の克服」=
ある瞬間のちょっとつらい体験を乗り越える。短期的、瞬間的な克服法。余震が怖い、何かしら不安、イライラ、落ち込む、悲しい、いつもではないが今夜、眠れない、ドキドキする、何かしようとするとはきけ、痛み、が起きる、息苦しい(過呼吸)、など、まだ、精神疾患とか心身症など診断がつく病気ではないが、つらいので、乗りこえたい。これを乗り越えないと、種々の病気にまで発展してしまうこともある。
- 「心の免疫力」の向上=
心身の疲れから、種々の病気にならないように、ストレス耐性力を向上させる。忙しいことに流されていくと、過労によるうつ病、脳神経疾患、心疾患などになるおそれがあるので、そうならないように、予防的に実践して、「心の免疫力」を向上させる。また、不安、恐怖になることを考えすぎると、PTSDになるおそれがあるので、不安への耐性も向上させる。毎日、時間を作って、何セットかを行なう。大勢で行なう場合には、当番が、時間を決めて、時間をはかりながら行なう。
- 数える「呼吸法1」を、3〜5分(3〜5セット)、行なう。
- 数えない「呼吸法2」を、3〜5分(3〜5セット)、行なう。
- 最後の段階で、呼吸法2を行いながら、「気持が落ち着いている」と3回繰り返えす。大勢、一緒に行なう場合には、その時間になったら「気持が落ち着いている、と3回繰り返してください。」という。
- このあと「消去動作」を行なう。
- こういう呼吸法を毎日、2〜数回おこなう。避難所では、時間を決めて、いっせいにおこなうか、自分だけ、おこなうのもよい。
- はく時に、副交感神経が優位となるので、その時間を多く作るので、交感神経の亢進状況が改善されて、不安や怒り、イライラなどの過敏性が低減する。呼吸法に集中しているので、集中力が向上し、余震の不安などへの予期不安が改善する。つらい過去、将来の不安への自動思考への抑制力が向上する。
前頭前野が活性化する。セロトニン神経が活性化する。こうして、不満、不快、思いどおりにならないという自動思考が少なくなって、うつ病にうなりにくく、自殺防止になる。不安過敏性も改善されて、PTSDになりにくい効果も期待される。
- 「短期的危機の克服」=(つらいとき実践)
ある瞬間のちょっとつらい体験を乗り越える方法を会得しておくと、すぐ改善できるし、つらいことを繰り返さないことによって、心の病気になったり、周囲の人を困らせたり、感情的になったりすることを回避できる。
- 困ったことが起きた時に、数える「呼吸法1」か、数えない「呼吸法2」のどちらかを、1〜5分行なう。
- 「○○(自分のつらいこと)は、つらいけれども、呼吸法をしていると、つらさが軽くなる」と数回繰り返す。次に、「気持がおちついている」と3回繰り返す。(たとえ、実際には軽くならなくても、この実践を繰り返し行なっていると、現実に軽くなってくる。学習によって、「つらいこと」があっても、呼吸法に入ると、短時間で「軽くなる」傾向になる。余震といえば、こわい、というような負の強化とは逆に、呼吸法=つらいことの緩和、気持が落ち着く、という、正の強化が獲得される。)
- この呼吸法は、副交感神経が優位となるので、感情や交感神経の興奮がしずまってくる。完全には、消えなくても、呼吸法を行なっていると、つらさのレベルが低下することがある。こうして、つらいが急におきた不快な体験に、自分の言葉・解釈によってふりまわされずに、建設的な行動にのりだす。それでも、不快な症状、不快な体験が軽減しない場合には、自分ひとりで我慢せずに、支援を求める。つらいのに、我慢していると、感情、
HPA系
は亢進しているので、後に、種々の病気をひきおこすおそれがある。
- 眠れない時には、横になって、目をとじて、呼吸法2をずっと実行しているとよい。興奮がしずまるので、やがて、眠り込むかもしれない。眠れなくても、呼吸法をたくさん行なったのだから、「心の免疫力」の向上になっただろうと肯定的に解釈する。不眠が持続する場合には、医者に相談する。
- 「つらいこと(B)」=
- つらいことが短期的なもの(A)ではなくて、(B)のようなことが持続するようになると、病気になっている段階にすすんでいる可能性が高い。予防的な呼吸法ではまにあわない。
- 眠れないのが持続するのは、治療が必要な不眠症か、うつ病の可能性がある。朝、頭が重い、気分が悪い、勉強や仕事ができない(意欲がない、頭が回転しない)、人にあいたくなくなった、会話がひどくつらい、死にたいという気持がある、などは、うつ病になっている可能性がある。すぐ、薬物療法や心理療法を受ける必要がある。
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