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がん患者と看護師(2)
 =看護師が燃え尽きないために

 看護師は、実にストレスの大きい仕事である。燃え尽き(バーンアウト)が多いという。 「「燃え尽きない」がん看護」(医学書院)という本は、その対策を教えている本のひとつである。種々のストレスについて別々に対策が考えられているが、最後の対話から、重要な点をみておきます。
 平山さんとの対談で、「燃え尽きないで長い間勤めることのできる人、生き残っていく看護師さんの特徴」はという質問に対して、安達さん(注1)は、次のように答えておられる。  自己洞察法は、マインドフルネス、アクセプタンスの精神スキルの訓練を行う。これは、心理の全体図の自覚、精神活動の関係づけ、自己の精神活動を客観的な立場から観察する訓練を行うので、安達さんがいわれるような心が向上するに違いない。  原初の認知療法のように、「思考の内容の修正や変容」をもたらすものの、直接的にそれを治療法の目的とする傾向よりも、メタ認知のレベルの変容を起こすことをねらい、問題の改善を実現する。

 自己洞察瞑想法の技法を、次の記事に示したが、上記のような、みかたが養われるかもしれない。  呼吸や目前の感覚に注意を集中する訓練(選択的注意法)を行い、過去のことなどの思考に落ちたらすぐ放ち(注意解放)、呼吸や目前のことに注意を向ける訓練も含まれる。 ワーキングメモリ(作業記憶)、つまり、意志作用の活性化である。 一人の患者の言葉、行動、出来事にとらわれていると、現在、他の患者のためにする処置がおろそかとなり、ミスを犯してしまうが、こういう訓練は、そういうことに固執せず、過去を放ち、今のことに、向かう心を向上させることに役立つ。
 機能分析法で、常に、自分の精神活動を洞察する訓練をするので、安達さんがいわれる「客観的に自分の位置が見える」という心のスキルを向上させて、燃え尽きにくい看護師を育てるのではないだろうか。
 上記の図で、見るように、感覚、思考、感情、衝動、行動が動いていく(油断すると、暴走する)のを、高い位置から、これらに注意を集中し、解き放ち、抑制し、コントロールして、冷静な判断・行動をしようという洞察を常に行っているのが、自己洞察法であるから、看護師の方に、行っていただくといいのではないだろうか。