医者の自殺は多い
=息の抜けない仕事のストレス、勤務が過酷のせいか
医者はストレスが大きい職業である(1)。
- ミスのゆるされない仕事であること。
- 学問の進歩が著しく、技術をトップレベルに維持するには、なみなみならぬ努力を要すること。
- 多くの人のチームとしての仕事であり、スムーズな人間関係を保つのに配慮しなければならないこと。
- 患者の症状が悪化したり、死んだりする場合も多いこと。
医者の自殺率は、他の職業の人より高いようである。イギリスの医者の自殺についての記事がある。
若い医師の自殺が多い。高齢者の自殺率は、一般市民と比べて2.3倍高い。イギリスのNHSの管轄下にある病院で働く女性医師の自殺率は、一般女性の場合の2倍である。(2)
また、同書によれば医者は、そのストレスにより、薬物やアルコール依存、精神疾患(不安や抑うつ)、夫婦間のトラブルがあるという(3)。
日本の医者の自殺率についての統計のデータを入手していない。乱暴かもしれないが、2003年の医者の自殺数、79人であるが、これを、医師総数約25万人で割ると、医師1万人あたりの自殺率は、3.16人である。全国の自殺者数、34,427人を全国人口の1億2682万人で割ると、1万人当たり、2.71人となる。医者の自殺率は、一般市民より高いようである。
就業人口で比較すると、もっと高い率になるだろう。
自殺を招くうつ病に詳しいはずの医者の方が自殺が多いとは、それだけ、医者の勤務状況、うつ病、自殺問題も深刻である。
(注)
- (1)河野友信「医療従事者のストレス対策」(『ストレス診療ハンドブック』メディカル・サイエンス・インターナショナル、349頁)を参考にした。
「お医者さんに効く!ストレス解消ハンドブック」じほう、第2章 ストレスの診断、23頁。
- (2)「お医者さんに効く!ストレス解消ハンドブック」じほう、第8章、ストレス・コントロール法、145頁。
- (3)同上、40頁。