虐待=東京、群馬

 =親がわが子を虐待して死亡させる

 子供の虐待事件が多発しています。  人は、感覚、思考、感情、欲(報酬系)、衝動、行動出力などの種々の活動(精神作用、身体行動など)を遂行しますが、それをコントロールしないと、他者や自分を苦しめます。単純化していうと、「苦しめる」ということは、陰性の感情(怒り、不満、悲哀、不安、恐怖、後悔、ゆううつ、等)が長く続くことといえます。
 精神が健康な人なら、種々の活動をコントロールします。建設的なことに「注意」を向け、自分や他者を傷つける行動は「抑制」し、そういうものやつらいものから「解放」し、建設的な行動を選択します。こういう精神作用を、自己洞察と呼ぶことにします。
 虐待する人は、こういう自己洞察の精神作用を十分行うことができなくなっていると言えます。最近の脳科学の研究によれば、思考、感情や衝動を抑制する機能には、種々の領域があることがわかってきました。  虐待する人は、自分の側がおかしいと意識が弱く、子どもがおかしいと思うので、自分のおかしいところ(感情的になる、虐待行動を抑制しない、など)をカウンセリングを受けて改善しようとしないので、虐待はやまない。日本では、児童虐待、それによる、死亡が多い。
 母親の場合、虐待する自分の行動がエスカレートしていくのを恐れて、児童相談所に相談することもある。そうしてほしい。自分も小さいころに、虐待を受けたり、両親が不和で、いつもおびえて育ったために、感情の抑制がむつかしくなっている人が、大きくなってから、児童虐待、自傷をおこす割合が高いという。不幸が、世代を超えて連鎖していく。自分の代で、これを止めたい。虐待、自傷は、専門家のカウンセリングを受けないと治りにくいと言われている。早いうちに、カウンセリングを受けてほしい。

 自己洞察瞑想法は、図の上部にある、注意、感情抑制、行動抑制などの精神作用を意識下と意識上の両側面から、向上させようとしている。他の心理療法も、そういう要素がある。だから、薬物療法とは、別のすぐれた効果がある。

(参考書)
「親子再生 虐待を乗り越えるために」(小学館) 児童虐待の相談員を8年間務めた佐伯裕子さん(50)が、約2000件の相談を受けた体験をもとに、解決に至った例をまとめた。