家庭内暴力を苦に娘に切りつけた母親

 愛知県で、6月3日、女性会社員(53)が殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された。  調べでは、無職の長女(26)を殺害しようと、包丁で切りつけた疑い。長女は助けを求めて屋外へ逃げ、左の手のひらに切り傷を負う軽いけが。容疑者は「娘を殺すつもりだった」などと話したという。長女は家の中で暴れたり、家具を壊したりする家庭内暴力を繰り返していたらしい。
 「犯行の直前にも長女から『お前は死ね』と言われて耐えられなくなったという。容疑者は実父と長女の3人暮らし。長女は大学生のころから精神的に不安定になり、「パニック症候群」と診断されたこともあったらしい。 (2006年06月04日 asahi.com)

 心の病気による「ひきこもり」からの、家庭内暴力。それに耐え切れなくなった親がわが子を殺傷未遂。また、同様の悲劇だ。円満な家庭なら、信じられないだろう。娘が、親に暴力、暴言、そして、親がわが子を殺害したくなるとは。
 日本は、心の病気の治療法の開発が遅れている。心理療法がもうからないから、多くの研究者が参加しようとしない。制度がおかしいのだ。
 パニック障害そのものには、こういう暴力は症状としてはない。他の障害との誤診か。それとも 「パニック障害」が治らないために、苦悩して、不満、怒りの矛先を母親に向けたのか。これは、他の障害だったのかもしれない。適切な診断(心理アセスメント)をして、診断名を適切に、くださないと、治療法が違って治りにくいだろう。本当に、心理療法が遅れている。
 どちらにしても、精神疾患による「ひきこもり」は、適切な心理療法を受けて治す体制をつくらなければ、こういう悲劇がくりかえし起きる。日本は、どうしたのだろう。どうして、精神疾患の治療法の研究開発に予算を投入しないのだろう。なぜ、NPOなども、心理療法の必要性を主張しないのだろう。なぜ、カウンセラー団体が、「我々にまかせてくれ」と声をあげないのだろう。