「ひきこもり」
最近、青少年も大人も「ひきこもり」の人がふえていると言う。この問題にはいろいろなカウンセラーや組織が取り組んでいる。このホームぺージにも紹介した「公的相談機関」にも相談してほしい。本人が外出できない場合、まず、ご家族が相談にいってほしい。
(注)最近、「ニート」ということが言われるようになりました。働く気があるのに働けない人も、心の病気による場合と、そうでない場合があります。
次の本は、ひきこもり解決への参考書です。各県の「引きこもりKHJ親の会」の支部が掲載されています。
- 「「ひきこもり」と闘う親と子を応援する本」安川雅史著、中経出版、700円+税
- 「「ひきこもり」がなおるとき」磯部潮、講談社、2004年
次のホームページは、ひきこもりの方々の支援をする組織です。ご相談なさるといいです。
ひきこもりに伴いやすい症状
「ひきこもり」は、病気ではなくて、状況ですが、心の病気などになっていることによって、「ひきこもり」になっている場合も多いようです。病気でない「ひきこもり」は、回避性パーソナリティ障害、社会不安障害という診断名がつくケースが多い(磯部氏)。
斎藤環氏(精神科医、爽風会佐々木病院・診療部長)は、ひきこもりにともないやすい精神症状として、次を列挙している(1)。
- 1、不登校
- 2、対人恐怖(自己臭恐怖、視線恐怖、醜形恐怖)
- 3、被害関係念慮(妄想様観念)
- 4、強迫症状
- 5、心気症状
- 6、不眠と昼夜逆転
- 7、退行・家庭内暴力
- 8、抑うつ気分
- 9、希死念慮・自殺企図
「ひきこもり」になると、このような精神症状を伴う場合があるので、この症状が外出すること、人に会うことを困難にしている。だから、「ひきこもり」の人は、これらの症状を軽減する対策をとる必要がある。薬物療法を受けている人でも、「ひきこもり」が続く場合がある。そこで、薬物療法に加えて、別な対策も講じてみてほしい。「ひきこもり」は病気ではない場合も多いのですが、すべて、そうだと勘違いして、病気や障害、症状の改善の対策を考慮せず、放置したり叱咤激励するだけでは、かえって、ながびかせるおそれがあります。支援団体に相談して対策をとるのがいい。
「ひきこもり」のきっかけは、自分の容姿・能力のコンプレックス、職場での人間関係、受験や就業の失敗、家庭内の問題・不和、学校でのいじめ、などがある。(2)
子供が、学校に行けなくなってしまう代表的な原因として、赤面恐怖、視線恐怖、自己臭恐怖、強迫症状がある(3)。これは、不安障害であり、不安障害に対しては、心理療法があるのだから、早いうちに、カウンセリングで治すのがよいと思います。ながびくと、苦しみが大きくなる。
このほか、自分に自信がない、未知の世界(就職)へ踏み出すという変化への不安があり、何事につけ消極的な拒絶行動をとるいう依存的なパーソナリティや、怒りやすく円満な対人関係をむすびにくい境界性パーソナリティ障害から、ひきこもりが継続している場合もある(4)。
こういう背景には、固定観念や認知のゆがみによる「自動思考」によって起きるストレスもある。感情や衝動を抑制、観察、受容し適切な行動をする心の訓練をすることで、改善するかもしれない。
そのためには、カウンセリングや心理療法を研究する必要がある。
(注)
- (1)斎藤環「若者の心のSOS」NHK放送出版協会、90頁。
- (2)11/25/2004 NHK「ひきこもりサポート・キャンペーン」のアンケート調査より。
- (3)「「ひきこもり」と闘う親と子を応援する本」安川雅史著、中経出版、61頁。
- (4)矢幡洋「働こうとしない人たち」中央公論新社。
病気でない「ひきこもり」
ひきこもりは、病気ではない(病気ではないが、回避性パーソナリティ障害、社会不安などが多いという=磯部氏)場合が多いという。