CBASP=アメリカの新しい心理療法
(慢性うつ病の新療法:CBASP)
 アメリカでは、心理療法の研究開発が膨大な資金を投入して行われている。マインドフルネス・アクセプタンスの心理療法もそうであるが、最近、もう一つ新しい心理療法が翻訳出版された。  監訳者序によれば、この心理療法は、大規模な臨床試験(無作為割り付け比較試験)が行われて、その効果が検証されたが、その試験にかかった費用は、30億円であった。アメリカでは、膨大な資金を投入して、心理療法が広く研究されているので、幸福である。日本で創始された心理療法で、うつ病、神経症、自殺問題などに関連する心理療法は、森田療法、内観療法、くらいか。個人が開発したものである。心理療法の領域では、日本には、独創がなく、日本による、世界への貢献は少ない。心理療法は、外国からの輸入が多い。
 このような慢性うつ病に関する研究をみると、慢性うつ病は薬物療法では効果がないということを再認識させる。日本で、今後、うつ病、自殺問題への取り組み、薬物療法の開発の是非に関係することであるから、少し詳細に、本書を読んでみたい。