慢性うつ病の経過のパターン
CBASP=アメリカの新しい心理療法6
(慢性うつ病の新療法:CBASP)
第4章 経過のパターン、併存症、心理学的特長
アメリカで開発された慢性うつ病の心理療法の概略をみていく。
第4章 経過のパターン、併存症、心理学的特長
まず、経過のパターンをみる。
大うつ病と気分変調性障害
この書籍では、慢性うつ病を扱っているが、重い症状(エピソード)が持続する「慢性うつ病」と、それより軽い症状が持続する「慢性うつ病」がある。慢性は、持続期間が2年以上である。
重症のエピソードがあるものが、大うつ病である。期間は短く、2週間で判断する。
気分変調性障害は、軽度〜中等度の慢性うつ病で、症状が2年以上持続する。次の記事に説明がある。
2年以上持続するうつ病は、気分変調性障害である可能性があるが、大うつ病のエピソードが持続する慢性うつ病もある。
「慢性うつ病は、単極性の気分障害で、2年間以上持続し、その間に症状のない期間が2カ月以上続かない状態として定義される。」(49頁)
慢性うつ病の5つの経過
慢性うつ病は5つの経過パターンがある。
- (1)気分変調性障害:軽度〜中等症の障害で、少なくとも2年間続いている。(図4−1)
- (2)重複うつ病:気分変調性障害(2年以上)の発症の後、1回またはそれ以上の大うつ病が起こる。(図4−2)
- (3)反復性大うつ病:エピソードを繰り返すうつ病で2年以上持続する。(図4−3a)
- (4)慢性大うつ病:大うつ病のエピソードが2年以上持続する。(図4−3b)
- (5)重複うつ病/慢性大うつ病:重複うつ病と慢性大うつ病の両方を満たす。(図4−4)
「慢性うつ病の精神療法〜CBASPの理論と技法」
原著者:ジェームズP・マカロウ、
監訳者:古川壽亮(名古屋市立大学)、大野裕、岡本泰昌、鈴木伸一
発行:医学書院、2005/11/1、定価:5775円
CBASP=Congnitive-Behavioral Analysis System of Psychotherapy; 認知行動分析システム精神療法
(慢性うつ病のみに開発された精神療法である)