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精神医学・禅・臨床仏教カウンセリング
抑圧と否認と投影と合理化
精神分析の領域で、「防衛機制」があり、その中に、「抑圧」と「否認」がある。
抑圧
- 不快感から逃避
「身体内部から作用する衝動を充足することが不快をひき起こす時、外の危険に際し人が逃げるように、内部の危険に対して意識からの拒絶と隔離によって自己を防衛する逃避の試み。自我の無意識的防衛活動であり、すべての神経症的防衛機制の基礎に働く。」(1)
- 思考も抑圧
「不安や罪悪感をひき起こすような、身体内部から発し、心に到達する本能刺激の心的代表(表象)あるいはその派生物(観念表象、記憶や情動)や心的代表に結びつく思考傾向などを抑圧する。」(2)
- 無意識にも行われる
「「無意識」と「前意識」の体系の境あるいは、無意識の派生物が「前意識」に侵入しさらに「意識」に迫る時は、その境で行われる。(3)
(注)
- (1)「心理臨床大事典」培風館、1992年、989頁。
- (2)「心理臨床大事典」培風館、1992年、989頁。
- (3)「心理臨床大事典」培風館、1992年、989頁。
否認
- 知覚はしていて否認
「個人が知覚はしているが、それを自分で認めてしまうと不安を引き起こすような現実、例えば、女性におけるペニスの不在を、そのまま現実として認知するのを拒否すること。」(1)
- 抑圧と否認の違い
「抑圧と否認の違いは、抑圧が内的欲動や現実、願望などを意識から排除する働きであるのに対して、否認は一方で外的現実を知覚していながら、他方でその知覚を否認してしまうところにある。」(2)
- 不快な現実の検討力の麻痺
「否認は認知してしまうと不安・不快な現実に対する現実検討力の麻痺であり、外的自我境界の障害である。」(3)
(注)
- (1)「心理臨床大事典」培風館、1992年、986頁。
- (2)「心理臨床大事典」培風館、1992年、986頁。
- (3)「心理臨床大事典」培風館、1992年、986頁。
投影
- 自分の嫌いなものを持つ人を嫌う
「自分がもっている好きな側面を、相手も共通してもっていると感じる場合には、私たちはその人を好きになる。逆に、自分のもっている嫌いな側面を、相手も共通してもっていると、私たちはその人を嫌いになる。さらに、私たちは意識しないうちに、自分のもっている嫌な側面や受け入れたくない側面を、人がもっていると思い込み、その人を嫌うこともある。」(1)
- 好ましくないものは抑圧して投影
「とくに自分の中にある感情や欲望や資質が好ましいものでない場合には、それらを無意識に抑圧して投影することが多い。」(2)
- 外的現実の解釈の歪み
「投影は、投影的同一視よりも成熟した防衛機制であり、本人にとって受け入れがたい心的体験を抑圧し、抑圧した体験を他者がもっていると感じる現象である。投影した体験に対して共感を感じることはなく、その体験に対して心理的な距離をおく傾向がみられる。また、投影している他者を歪みなく認知することができるが、自分にとっての他者の意味を歪めて受けとめることが多い。つまり、投影とは抑圧を基本とする外的現実の解釈の歪みと考えられている。」(3)
(注)
- (1)「心理臨床大事典」培風館、1992年、982頁。
- (2)「心理臨床大事典」培風館、1992年、982頁。
- (3)「心理臨床大事典」培風館、1992年、982頁。
合理化
- 自分をかばう説明
「自分のとった行為や態度、思考、感情などに対して、論理的に妥当な一貫性のある説明、あるいは倫理的に非難されず、道徳的に受け入れられるような説明をつけることにより、自分の望んだ言動を、不安を起こすことなく遂行しようとする心的規制である。」(1)
- 正義のため
「攻撃的な言動を正義のためと自分自身にも言い聞かせたり、自分の衝動からくる性的行動を相手の強制によるものとする場合などがその例である。」(2)
- 自覚しない
「防衛機制ないし適応の機制として働き、成功した場合、主体は自己の言動の真の動機を自覚しない。」(3)
- 正常な思考にもある
「合理化は、妄想から正常な思考までのあらゆる領域にみられる一般的な過程である。どのような言動にも、合理的な説明をつけることはできるため、その説明を正しくないと判断するのは困難なことが多い。」(4)
- 都合のよい現実を取りあげる
「合理化は、自分の行為、態度、外界との関係などの現実そのものを自分の感情や欲動に一致するように正当化する試みであって、不都合な現実を歪曲したり、否認したり、都合のよい現実だけを取り上げるなどして、論理的思考の結果であるかのように見せかける自我の働きである。」(5)
(注)
- (1)「心理臨床大事典」培風館、1992年、993頁。
- (2)「心理臨床大事典」培風館、1992年、993頁。
- (3)「心理臨床大事典」培風館、1992年、993頁。
- (4)「心理臨床大事典」培風館、1992年、993頁。
- (5)「心理臨床大事典」培風館、1992年、993頁。
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