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思想を実践すべき
オーストリアの精神医学者、
フランクル
は、ロゴセラピー(RT:意味の精神療法)を提唱した。かれは
、限界状況の苦悩の人には、宗教的救済も
意味があるという、そういう哲学、思想を持
っていた。また、彼の精神療法には、自己存在に関する哲学がある。ターミナルケアや
がんや不治の病
気の人の援助には、哲学や思想が重要である。
彼には、思想、哲
学があった。
一部を次に述べた。彼の哲学は、(現代仏教からは失われた)仏教の深い哲学、西田哲
学と同様の哲学があった。
フランクルのロゴセラピーは、哲学の精神療法化である。彼の生き方は、彼の哲学の
実践である。
アウシュヴィッツの収容所に送られた時、「思想を実践せよ」という啓示のようなも
のを感じた。
「この「一致」を私はどのように解釈すべきだったのでしょうか。
それは、私の思想
を単なる机上のこととするのではなく、それを実際に実践せよという
要求として解釈す
る他はありませんでした。」(B,32)
「このような極端に
過酷な状況における究極的な問いは、生きることの意味とさらに
は死ぬことの意味の弁
明に向けられていたのです。毅然として死地に赴き、死んでいく
ためにも、人間はその
ことについて納得したいと思っていたのです。重要なのは、むし
ろ「まず哲学し、次に
死ぬ」ことだったのです。」(B194)
日本の仏教は、机上論と哲学のない宗教的行為になり、実践的哲学を失ったので、一
般の人をひきつけなくなったのである。哲学は、人間の生き方の方向を示す羅針盤、智
慧、哲学、人間・自己の思想である。自分の問題の解決になるという「納得」がないと、智慧のない実践はどこへいくかわからない。だか
ら、一般人で、現実の生活の中で仏教を実践する人はほとんどいない。
マインドフルネスは、仏教の失敗に学び、哲学を持っている。欧米のマインドフルネ
ス心理療法者の場合、行動分析の哲学、東洋の哲学、弁証法などと言っている。
マインドフルネスは、現代人の心の病気、そのほかの苦悩の解決の哲学と実践を持って
いる。なぜ、苦悩があるのか、苦悩する自分は何か、どうすれば克服できるのかの理論
、実際にはどうすればいいのかの治療法の哲学である。
(A)フランクル『意味による癒し』春秋社
(B)フランクル『意味への意志』春秋社