トラウマは認知的フュージョンで起きる
=マインドフルネス心理療法で改善
非定型うつ病や外傷後ストレス障害(PTSD)(災害、ひどい体験、虐待体験など)には、つらい体験がフラッシュバックすることで苦しみ、社会的な行動や思考を回避している人が多いが、マインドフルネス心理療法では、それも治療しようとしている。
過去のつらい体験の侵襲的な想起で苦しむ。そこには、認知的フュージョンによって、思考やイメージを事実と誤認しているという。
「認知が一体化するような状況において人間は、実際に経験した事柄よりも、それが「真実」であるかのように、思考の文字通りの内容に対して反応する。例えば、「私にはできない」、「絶対に良くなることなんかない」といった思考は、それが事実として受け止められる。この「認知的フュージョン」は、これらの思考が生じそうな状況や感情を回避する、あるいは、いったんその思考が生じると必死に逃れようとする反応を引き起こす。私的な体験の回避には、健全な機能の維持には不可欠な場合や、実際にそれが効果的なコーピングとして作用する場合もあるだろう(例えば、仕事のストレスを解消するために散歩するなど)。ただし、不快に感じる私的な体験の回避が習慣化し、効果的な日々の暮らしの妨げとなったとき、回避は心理的な苦痛をさらに増大させる危険性がある(Hayes et al., 1996)。
ACTの観点では、自己と言語処理過程のフュージョンは、当該の個人に苦痛をもたらす。アクセプタンスは、一体化した言語の解体によって促進される(Hayes et al., 1999)。マインドフルネスの促進やメタファー、他の実践的なエクササイズは、上述したようなフュージョンや、頑なルールへの固執を徐々に解きほぐし、同時に健全な距離の保ち方や無評価な気づきを教授する。セラピーでこれらの過程をたどることは、クライエントが自らの価値や目標に向けて効果的に振る舞うことを援助する。」(1)
トラウマのフラッシュバックをおそれて、関連する思考、体験、人、場所を回避しようとして、日常生活が不満な状況になると、いっそう苦痛が大きくなる。トラウマによる苦悩は、非定型うつ病、PTSDなどに起きる。上記のように、マインドフルネス心理療法は、こういう苦痛も治療できる。
第9章 アクセプタンス、マインドフルネス、そしてトラウマ
→トラウマ
→回避とエクスポージャー法
→改良版のエクスポージャー法
→カウンセラー(セラピスト)も自己洞察スキルが必要
(注1)
「マインドフルネス&アクセプタンス
ー認知行動療法の新次元ー」
編著=S.C.ヘイズ、V.M.フォレット、M.M.リネハン
監修=春木豊 監訳=武藤崇、伊藤義徳、杉浦義典
ブレーン出版、2005/9/10、288頁。