うつ病・パニック障害などは認知行動療法がよい

 うつ病や不安障害(パニック障害、対人恐怖、強迫性障害、PTSDなど)などには、 認知行動療法の治療効果が高いことがわかってきた。日本では、薬物療法や傾聴型のカウンセリングが多いが、これでは、一部の患者しか治らない。従来の療法だけでは、治らない障害が多くなってきた。 読売新聞の医療ルネッサンスでも、 このことに触れている。

 しかし、認知行動療法は、どこでも受けられる治療ではない。理由が3つあげられてい る。認知行動療法のできるカウンセラーが少ない、収入が少ないので医者は行わない、心理士のカウンセリングは健康保険がきかないので、料金が高い。  こういう点を改善していかないと、うつ病、パニック障害、対人 恐怖などが治らないで、不登校、ひきこもり、などが長引いてしまう。苦しさが強くなる と自殺もある。認知行動療法のできる人が、全国に配置されないと、重い心の病気がなおらず、自殺が減少しない。だから、認知行動療法のできる医者やカウンセラーの育成が急務である。 傾聴だけではなくて、それぞれの障害や問題の特有の認知や行動があるので、認知や行動 を積極的に修正するような方針で、助言する。認知行動療法にも、いくつかの流派があっ て、かなり違うアプローチをとる。患者、クライアントの問題や年齢、実行できるかどう かなどで選択できる。ベックがはじめた認知療法や、最近アメリカで盛んになったマイン ドフルネス心理療法や私たちの自己洞察瞑想療法もこれである。どれかを受けてみて、効 果がない場合、他の流派のカウンセリングを受けてみればよい。流派によって、カウンセ ラーの成熟度によって、かなり違いがあるから。
 5か月もの間、傾聴だけで、全く何の助言もないカウンセラーがいた、という。よく、 辛抱して、通ったものだ。うつ病や不安障害などは、傾聴型のカウンセリングでは、治り が遅い。問題を維持して、認知のゆがみによって社会生活を回避している認知や行動を変えていくことを助言する認知行動 療法を普及させないと、精神疾患を治したり、自殺を減少させることに、限界がある。