痛みを軽減する(1)

 痛みを軽減する治療を医者に依頼すればいいが、薬を服用しても、それでも、とれない痛みがある場合、何かくふうできないものか(呼吸法などで)可能性をあれこれ考える。
 痛みを軽減するために、薬が使われることがあるが、すべての人に、元来、備わっている痛みの軽減の仕組みがある。



脳に痛みを伝える2次ニューロン
(脊髄後角)
(a)
触覚を伝えるニューロン繊維
=============
<========= ===● (c) 
 
(b)
=============
痛み刺激を伝える1次ニューロン繊維

痛覚と触覚をまぜあわす

 痛みや触覚を感じる受容器が全身にあるが、2つがそばにある。2つの刺激が脳に伝えられると、痛みや触感を感じる。2つの神経とも、その伝導路の途中で、脊髄後角を通る。痛みの1次ニューロン(神経細胞)(b)の軸索が脊髄後角にはいると、シナプスで、2次痛覚伝導ニューロン(c)に痛み情報を伝える。この時、同時に、触覚ニューロン(a)の興奮が伝えられると、2次痛覚伝導ニューロン(c)が受け取る痛み信号の量が、痛み刺激単独の場合に比べて半減する。
 母親が、けがした子供の皮膚の周囲をやさしくさすってあげることがあるが、痛みがやわらぐのは、このせいである。(参照:「感覚の地図帳」講談社、82頁)

他人のやさしが痛みをやわらげる

 病気(がんなど)の人が、痛みがあって、痛みどめの薬でもとまらない時、おなかなどを家族がさすってあげることがあるのも、この痛みをやわらげる効果がある。そのほかに、患者は、さすってくれる人のやさしさを思うので、注意が痛みから、感謝の思いに向かうので、さらに、痛みがやわらぐ。医療関係者(医者や看護士)、家族がやさしく接してくれると、患者の痛みはやわらぐ。医者や看護士、家族が患者に心理的なストレスを与えると、痛みを強く感じる。
 痛みは、心理的に、強く感じたり、やわらいで感じたりする。痛み以外でも、そうである。たとえば、耳鳴りや、抑うつ気分も、嫌ったり、そこばかりに注意を向けると、強く感じる。