高い医療費を取れる方を選択する医者
「日本では、高度な技術できちんと治すより、同じ患者に何度も何度も手術と放射線治療をする方が高い医療費を取れるのだから」。
これは、朝日新聞(6/20/06 夕刊)の記事の一部です。(asahi.comにも
http://www.asahi.com/jinmyakuki/TKY200606190305.html )
脳外科医の、デューク大教授の福島孝徳(ふくしま・たかのり)氏を紹介した記事の中。
抜群の腕前だが、歯にきぬ着せぬ発言が日本の医学界に受け入れられず、91年、48歳の時に米国に“流出”。いまや「ラストホープ」(最後の切り札)と呼ばれる米医学界のスーパースターだ。
だが、今でも、日本の大学には招聘されないという。
「自分のモットー「一発全治(1回の手術で治す)」「すべてを患者さんのために」に反する治療の横行に、福島は憤慨する。「腫瘍の1割も取れず、患者さんを車イスにする脳外科医がいる」「僕が最初からやれば治るのに、ほとんどの大学は絶対に僕を呼ばない」
精神科医療も、薬づけ医療だと批判する人がいる。長引いて治るかどうかわからなくなった「うつ病」や「パニック障害」にも、投薬が継続される。心理療法やカウンセリングが有効な人もいるだろうに、本を読むと、たいてい「薬物療法は絶対必要である」と書いてある。アメリカでは、種々の心理療法で治す人がいる。同じなのか。患者よりも、高い医療費収入か。
福島氏は、「大学は絶対に僕を呼ばない」から、後継者を育成するという。若手が福島氏のような患者本位の治療をするようになって、そういう人が多くなるのを期待するのだろうか。
「手術に立ち会う日本の若い医師には、人が変わったようにやさしく教える。「患者さんを助ける医師を一人でも増やす。それが海の向こうからの僕の世直し」
「東大で同級だった東京女子医大脳神経センター教授の堀智勝(ほり・ともかつ)(62)は、福島の憤りを理解する。「日本では、高度な技術できちんと治すより、同じ患者に何度も何度も手術と放射線治療をする方が高い医療費を取れるのだから」。そして、こう付け加える。「彼こそはまさに脳外科のために生まれてきた男ですよ」
うつ病・パニック障害・対人恐怖・心理ストレスによる心身症、など、薬物療法ではあまり効果がみられない人も多数いるが、薬物療法が継続されるようだ。医者は、心理療法に言及しない傾向、協力しない傾向があるのではないか。積極的助言をする心理療法が遅れている。患者よりも、ほかの利益が優先されているのか。うつ病がながびき、ひきこもり、自殺も起きる。自殺、ひきこもりは、そういう犠牲になっている部分もあるだろう。患者、その家族本位の対策をとっていかなければいけない。