ひきこもり=家族同志の対立
- 「ひきこもり」は、うつ病、パニック障害、対人恐怖、過食症、心身症、対人コミュニケーションの未熟などによって起きている場合があります。
- ひきこもりの原因になっている「病気」を明らかにするのが重要
ひきこもりは、病気で起きている場合や、病気ではなく、怠け、甘えの場合もあるだろう。だから、ひきこもりのもとになっているのが、病気であるのか、怠け、甘えであるのか、専門家に、診断・心理アセスメントをしてもらう必要がある。ひきこもりが長引くうちに、別の病気になっていく場合もある。何年も前の診断では、あてにならない。変化している場合もある。
うつ病といいながら、さらに、その背景に、対人恐怖、パニック障害、過食症、対人コミュニケーションの未熟などがある場合には、その問題を解決しない限り、ひきこもりは解消しにくい。だから、原因を明確にしなければならない。
- 病気で「ひきこもり」になっている場合、
クライアント(来談者、悩む人)や家族の理解がなくて、家族同志が批判しあい、憎みあって、かえって状況を悪化させていることがあります。
本人だけではなくて家族でカウンセリングに参加するほうが、解決を早めることが多いでしょう。家族が対立していては、ひきこもりのもとになっている病気について理解せず、その治療をひきのばしにして、家族関係の悪化が持続します。長引いてしまったあげく、親子間で、暴力、殺人、心中まで起きていることもあります。
- 家族みんなが、ひきこもりのもとになっている「病気」を明確にして、その病気にふさわしい治療に向けての行動を起こす必要があります。
- ひきこもっている人が家族を責める
患者が、親(や配偶者)に向かって「こんな状況になったのは、お前のせいだ。親の育て方が間違ったのだ。」と言って、親(や配偶者)を責める、暴力をふるうという状況では、問題の解決にはなりません。
- 親(や配偶者)を責めても、病気(うつ病、対人恐怖)が治るわけではない。
- 責められた人は不愉快になる。親は、必ずしも、親(や配偶者)のせいとは思っていない(また、実際、心の病気になるのは、親(や配偶者)だけの責任ではない。患者自身が選択してきた生き方、考え方、行為が多い。)。
- 責める患者には、親(や配偶者)を責める思考を繰り返すので、「怒り」が繰り返し起きる。そのような心では、不満、抑うつが起こり、治療や行動への意欲が回復しない。
- 責められる親(や配偶者)には、子(や配偶者)から責められる言葉、暴力を受けるので、「不満」「怒り」の気持ちが繰り返し起きる。そのような心では、不満、抑うつが起こり、その人を、積極的な支援できなくなる。放置したくなる。
- こうして、一つの屋根の下で、家族間が対立した状況、会話もしない状況が継続して、治すための対策(どの病気であるのかの診断、その治療、カウンセリング)をとらないので、本人の問題は解決しない。ひきこもりが、ながびく。離婚、家庭崩壊、家族の崩壊になる。これでは、治らない。
- 家族がひきこもっている人を責める
逆に、家族(親や配偶者など)が、ひきこもっている人に向かって「ひきこもって何になる。怠けるな。働け。会社に行け(学校に行け)。」と言って、責めても、問題の解決にはなりません。
- 本人を責めても、病気(うつ病、対人恐怖、パニック障害など)である場合には、治るわけではない。
- 病気であれば、家族から、責められても、外出できない。外出するとか、人とあうのが、つらい、こわいのだから。
- 責められる側には、親(や配偶者)から責められる言葉、暴力を受けるので、「不満」「怒り」の気持ちが繰り返し起きる。そのような心では、外出の意欲、治療を受けにゆくという気力さえもなくなる。責める家族へ怒り、不満をいだき、会話もしたくなくなる。改善の見込みのない「ひきこもり」状況が継続する。病気である(病気である場合)のに、治療しないから治らない。
- こうして、一つの屋根の下で、家族間が対立した状況、会話もしない状況が継続して、治すための対策(どの病気であるのかの診断、その治療、カウンセリング)をとらないので、本人の問題は解決しない。ひきこもりが、ながびく。離婚、家庭崩壊、家族の崩壊になる。これでは、治らない。
- 大切なこと
以上のことから、次のことが大切であることになる。
- ひきこもりのもとになっている病気など「ひきこもり」になっている原因を明確にする。
- 家族間で責めない。家族、家庭だけは、いつまでも究極の「居場所」であること。そのためには、病気の種類をはっきりさせて、その病気について理解する。
- 病気を治すための行動(治療、カウンセリング)を起こす。薬物療法、心理療法、種々のカウンセラーを、どこまでもさがす。
- 自分たちだけで行動が難しいならば、患者会などに参加する。なければ、自分たちが、結成して、よびかける。
- 眼に見える行動を起こして、強く関係機関に働きかけないと、公的機関などは支援の行動をしないでしょう。よけいなことをして「あちら」から批判されたくない、予算がない、傍観していよう・・・。
一人の要求では、公的機関、医師グループ、カウンセラーグループもマスメディアなども聞いてくれないが、百人、千人、1万人なら、動くでしょう。