薬でうつは治るのか?(1)  =書籍紹介「薬でうつは治るのか?」片田珠美、洋泉社(新書)、780円+税


 薬物療法を受けても、うつ病が治らない、復帰しようとしたら失敗する、再発を繰り返す、こうしたことが問題となっています。そのわけが、この本を読めばよくわかる。そんな本です。
 うつ病がながびいている人、患者の家族、抑うつ神経症によるひきこもりの家族には、必読書です。これ以上、薬物療法を受け続けるか、多少、費用はかかっても、心理療法にきりかえるか、判断をせまられることになるでしょう。
 これから、薬物療法を受けようかと思っている人も、読んでみるべきです。
 自殺対策基本法ができましたので、自殺防止の活動がこれから展開されていくでしょうが、薬物療法中心主義の医者では、限界があることも、これでわかります。うつ病には、種々のタイプがあるので、薬物療法だけの治療をしていると、ながびいて、自殺される危険が高くなります。自殺防止活動の関係者にも、必読書です。
 今後、少し、ポイントをご紹介します。簡単にしかご紹介できませんので、現物をご購入のうえ、よく読んで判断なさるべきです。薬物療法では治りにくい種類の「うつ病」がある。その場合、薬物療法を受けても、治らない、再発するだろう、そういう可能性を知ることができます。
 心理的な要因でなったうつ病は、薬が治すのでもなく、立派な病院の医者が治すのでもありません。自分自身の生き方にかかわります。
 なお、この本には、どのようにして治すのかという心理療法の心得は書かれていません。薬物療法だけに期待してはいけません、ということ、薬物療法だけでは治らないわけを説明した本です。薬物療法の否定ではなく、薬物療法絶対主義への警告です。医者も、患者も傾聴すべきです。
 心理療法を併用してくれる「良心的な精神科医」(219頁)、カウンセラー(218頁)を探しなさい、と助言している。
 ただし、不適切な薬物療法、精神療法的介入も、ながびかせる要因となっている(32頁)から、うつ病に効果のある心理療法、カウンセラーをさがすべきです。心理療法もいろいろ、カウンセラーもいろいろあるのです。
 
(続)