うつ病の治療に欧米では認知行動療法、対人関係療法が行われている
日本では、うつ病やパニック障害の治療や自殺予防に、薬物療法だけが紹介される。本でも、メディアでも、そうである。医者も薬物療法で治らない場合にも、いつまでも投薬を続ける。これは、偏見である。不勉強である。欧米では、心理療法で、治る人のあることが常識である。
欧米では効果が認定されている対人関係療法
次のように、うつ病の心理療法に詳しい医師、カウンセラーの方が、欧米では、うつ病には心理療法で治ることが指摘されている。次は、対人関係療法である。
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「これ(対人関係療法)は、これまでに紹介した「認知療法」「行動療法」とならんで、うつ病の治療においては薬による治療と同等もしくはそれ以上の効果があることが世界中で証明されています」(1)
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「もともとはうつ病の治療法として開発されたものですが、そのあと、摂食障害(拒食症や過食症など)や外障後ストレス障害(PTSD)など、さまざまな状態に対する治療法として手を加えられてきています。日本以外の国ではよく知られた治療法であり、とくに、開発国のアメリカでは、1995年の消費者ガイドで支持されたことによって一般にもその存在が大きく知られるようになり、アメリカ精神医学会のうつ病の治療ガイドラインでも、有効な治療法として位置づけられています。」(2)
日本では、自殺が多いが、うつ病パニック障害になった人が、医師による薬物療法を受けて治らない場合に、もう他の選択肢がないようなことを医者が言ったり、本で薬物療法しか啓蒙されておらず、クライアントが絶望することも背景にあるだろう。
薬物療法を行って、副作用で薬物療法が向かないクライアントや、薬物療法を行って6カ月も改善がない場合、もう心理療法を試みるべきであろうが、それを医者がすすめず、いつまでも薬物療法を続ける。そんなことをしていると、ひきこもりが長引き、自殺が起きるおそれがある。
日本も、うつ病、パニック障害、自殺問題には、認知行動療法、対人関係療法、自己洞察瞑想療法などがあることを医者、役所、学校、保健所、メディアも啓蒙すべきである。そして、そのカウンセリングができるカウンセラーを養成すべきである。
これらを会得していないカウンセラーでは、うつ病、自殺問題のカウンセリングは十分にできない。いたずらに、長びかせるおそれがある。これらの療法は、クライアントの話を聞くだけではなくて、認知、行動、対人関係を修正するために積極的に助言していく。だから、この療法を行うには、積極的な対人コミュニケーションができる人(カウンセラー、医者)でなければ、十分な効果を発揮できない。特別のカウンセリング技法であるから、適性が限られる。適性ある人を早く養成すべきである。さもないと、うつ病、パニック障害などによる、ひきこもり、自殺が減少しないであろう。
(参考書)
- (1)「薬を使わずに「うつ」を治す本」最上悠、PHP研究所、143頁。
- (2)「自分でできる対人関係療法」水島広子、創元社、18頁。