「呼吸法の活用」=東大附属病院「心療内科」

 欧米では、瞑想(Meditation)として、呼吸法が広く医学の臨床に用いられている。日本でも、東邦大学医学部で、呼吸法がセロトニン神経を活性化して、心の病気を治癒させるという研究がされてきた。ここには、東大のケースが紹介されたので、掲載する。

心身症、ストレス緩和の呼吸法

 東京大学大学院の熊野宏昭氏は、心身症に「腹式呼吸」が効果があるという。

心身症に「腹式呼吸」が効果

 心身症の治療には、内科的治療、向精神薬、生活指導、リラクセーションを用いるとして、そのうち、リラクセーションについて次の説明がある。

「腹複式呼吸」の行い方

 「腹式呼吸の行い方」として次の説明をしている。  これは、よくみると、坐禅の「数息観」とほとんど同じである。上記の「呼吸法」が心身症の改善に効果がある。仏教が、これを用いたのも、こういうことを経験から知ったのだろう。

実践する場合の注意

 しかし、熊野氏は、次の注意をしている。  「認知行動療法」は、うつ病にも効果があるといわれている。呼吸法も「うつ病」にも効果があるが、熊野氏が指摘しているように、呼吸法も自己流でやると、弊害が生じることがある。言われたとおりの方法を純粋に行わないで、自分の勝手な考えや他の本などで知った方法などを、人為的に付け加えて、かえって心理的にストレスを付加させることがある。また、自分で勝手に「理想的な呼吸法」を観念して、それにならないと思って苦しむことがある。ものごとに、とらわれやすい人に、その弊害が起こるおそれがある。心の病気の人は、臨床に詳しい人に 相談のうえで実行したほうがよい。


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