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精神神経免疫学

精神神経免疫学=精神・神経・情動・ホルモン・免疫

 心理的ストレス(思考によるストレスを含む)、自律神経、内分泌系(ホルモン)、免疫系との相互の関係がかなり解明されてきた。入江氏・永田氏は、次のように言う。  心理的ストレスにより、不安、恐怖、怒りなどの感情が起こり、それが持続すれば、脳内の臓器の不調により、心の病気になったり、内分泌系、免疫系の障害を起こし心身症や、種々の身体の病気になる。また、不安、恐怖、怒りなどの感情によって、矛先を他者に向けて、他者をいじめたり、犯罪を犯したりする。社会に犯罪やいじめ、差別、偏見が起きるのも、自己の感情を満足させるためである。
 こういうふうに、自己の苦悩、および、他者を害することが現代人の苦悩であるから、そうだとすれば、心理的ストレスをコントロールすることができれば、自分で苦しみ、他者を苦しませる現代人の苦悩を軽減できるわけである。
 対人関係のトラブル、認知のゆがみ、誤解偏見などの思考により、不安、恐怖、怒りなどの感情を起こすのも「心理的ストレス」である。
 現代人の不安、恐怖、怒りなどの感情を、心の洞察、訓練によって、克服できれば、心の病気、心身症、身体の病気(もちろん、心理的ストレスから起きる病気など一部)を軽減できる可能性がある。
 三者は相互に影響している。簡略して示せば次のとおりである。

ストレス
(精神、こころ、思考)
(情動・感情) (気分)
 
内分泌系
免疫系

 人は、精神(こころ)で思考して、それが内分泌系・免疫系に作用し、免疫に作用し、内分泌・免疫は、精神にも作用する。こころのストレスが持続すると、これらの相互に関係する心、内分泌、免疫のどこかに障害が起こり、病気になる。それを心は苦痛と感じ、思考は苦悩を受けとめる。

(参考書)

心理的ストレス、ホルモン、免疫

 図の下に、説明を記載した。図と説明の記号(A)-(L)は対応しているので、相互に参照しながら、見ていただきたい。
(図1)ストレスの主要経路

  ストレッサー    
  (A)  
Ad,Nad,ド−パミン、セロトニン
大脳皮質

(A)認知・評価・行動
    (A>
ストレスが加わると扁桃体、視床下部にCRH 大脳辺縁系

(A)認知・評価・行動
(G)セロトニン神経への影響
(A)
(F)脳の覚醒レベルの引き上げ (F) 視床下部

CRH (A)
ACTH/IL-1フィードバック IL-1フィードバック
脳下垂体
自律神経 自律神経 βエンドルフィン 成長ホルモン等 ACTH (B) (J)ACTHフィードバック
(E) (K)コルチコイド・フィードバック
(C) (H) オピオイド
(I) 内分泌
(D)
(D)
副腎
(C)(D)
副腎髄質
カテコールアミン
(C)
副腎皮質
コルチコイド
(D)
コルチコイド・フィードバック 
(D)
(C-2) 胃潰瘍・腸機能障害(D-2/E-2)
(C-1) 血圧、代謝、中枢神経 (C-3) 免疫系
自律神経 (E-2) (D-2) コルチコイド(D)
(D-1)
(E-1) (E)情動性自律反応
心拍数増加、骨格筋の血流の増大・攣縮、消化器運動の減少、瞳孔散大、呼吸促進
免疫系
自律神経 (E-3) (E-3) 免疫関係の臓器
(D-1)免疫系
NK細胞・T細胞の機能低下、リンパ球反応性低下
糖新生、凝固促進など免疫反応 (炎症、サイトカイン産生)
(L)IL-1フィードバック


精神(こころ)、神経、ホルモン、免疫の関連

 心理的ストレスが、自律神経の失調、内分泌(ホルモン)の障害、免疫の低下を招くということが明確になってきている。種々の研究から神経、ホルモン、免疫が密接なつながりがあることがわかってきた。およそ、次のようになる。

(参考書)