前頭前野の部位
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障害される機能
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背外側前頭前野
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- 注意制御
=持続性、選択性、分配性。
- 実行機能=(目標設定、計画をたて、それにそって行動し、モニタリング、行動を制御)。行動・発話:を行うにあたり時間の前後関係を統合的に調節する。選択的注意、Working memory、予測的構え、モニタリング。
- 発動性、発話、構えの転換、計画性、問題解決能力。
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眼窩前頭皮質
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転導性・被刺激性の亢進
=すぐ気が散って本来の行動が中断する、模倣行為、衝動的行動。
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社会性の障害=抑制のきかない、無神経な、場面に不適切な行動がみられる。
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前帯状回
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- アパシー=発動性低下、意欲低下、発語低下、運動量低下、無関心、無感動
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強迫性障害、強迫性パーソナリティ障害、注意欠陥・多動性障害には、注意制御、実行機能が低下しているとみられる。不安障害(パニック障害、対人恐怖、全般性不安障害など)の多くが、特定のものに対する不安、全般的な不安に対して「注意」が固着して、制御が困難になっているとみられる。「制御」は、次の(D)でみるが、「注意による認知機能の制御とは、ある認知活動を一過性に中断し他のより重要な情報に反応したり、2つ以上の刺激に同時に注意を向けたりするような、目的志向的な行動を制御する機能を指す。」という。後に、ふれるが、不安に注意を向けすぎて、その注意を中断できないで、通常の生活が阻害されてしまう状況とみられる。こういう「注意」という微妙な心理は、薬物療法では限界があるだろう。薬物療法は、「不安」をゼロにする方針だろう。だが、それでは、他の豊かな感情までも抑圧するだろう。不安があっても、自分の注意力で、不安から注意をそらして、本来の目的に注意を向けるという心理療法の方針は、尊重されるべきだろう。