味を覚えるのは前頭前野

 人が食べ物の味を覚えようとする時、見たり聞いたり触った感覚を記憶するのと同じ大脳の前頭前野が活発に働いていることを突き止めた。実験で、言葉で表現しにくいスポーツドリンク風の液体を用意。十人を対象に、二種類を間隔をあけて口に含んで同じかどうかを答える時と、一つの液体を単に味わった時の脳の働きを測定。その差から味を記憶する働きを調べた結果、大脳の前頭前野で左右両方とも活発に活動していることが分かった。独立行政法人食品総合研究所(つくば市)などの研究チームが、3月2日に発表した。詳細は、ホームページから見ることができる。  私どものカウンセリングでは、食べ物を食べる時には、感覚(食べる時の、姿、音、味、香り、触感など)に意識を集中して食べるように指導している。自己洞察瞑想法の一部として組み合わせる。こういう注意集中が、感情や思考を抑制し、前頭前野を活性化するからである。うつ病は、前頭前野の機能がおとろえている。そこを活性化するような種々の生活、運動などをすすめる。

 今度の研究からは、味を記憶するつもりで特に味に注意を強く向けることになる。味に注意を向けながら食べると食事量が違うという研究結果も上記の資料に紹介されている。こういう生活をすると、うつ病も治るが、過食症の治療にも応用できそうである。通院ではなかなか守られにくいかもしれないが、入院方式での過食症の治療ならできそうである。指導者の説明のもと、しっかりと味わいながら食べてもらうのである。