うつ病はストレスによるサイトカインから起きる?

 うつ病の症状は、次の記事にかいたが、前頭前野の働きが、かなり関係している。  うつ病になった人は、前頭前野の働きが弱っているようである。うつ病の治療には、セロトニン神経を活性化させるという方針だけでは、すぐには、うつ病は、治りにくいようである。また、再発も多いことがわかっている。さらに、セロトニン神経に作用する薬物療法が効かない患者もいる。

前頭前野の働き

 前頭前野は、次のような機能に関係している。  うつ病の症状とこの前頭前野の機能を比べてみると、うつ病の人は、上記の前頭前野の機能が衰えてしまうという症状がみられる。セロトニン神経は間接的な影響のようである。
 うつ病になった人は、なぜ、前頭前野の機能がおとろえているのか。まだ、解明されていないが、これを疑うのに、有力な原因の一つがサイトカインである。ストレスによって産生される「サイトカイン」が前頭前野に作用するためではなかろうかというものである。
 サイトカインは、細胞から分泌されるタンパク質である。 がんや肝炎の治療に使われる、インターフェロンやインターロイキンも、サイトカインの一種である。これらを投与された患者が、うつ症状を起こすことがある。
 ストレスを受けると、脳の中にサイトカインが産生される。また、視床下部、自律神経の亢進をとおしても、免疫細胞から血液中にサイトカインが産生される。このようなサイトカインが、うつ病の患者には、多くなっているという報告がある。
 そこで、私は推測する。ストレスによってサイトカインが産生されて、それが、前頭前野に作用して、前頭前野の機能を低下させて、うつ病を発症させるのかもしれない。

 うつ病には、ほかに、抑うつ気分や睡眠障害、疲労感などの身体症状もあるが、それは、前頭前野とは別な失調によるものであると推測される。また、他の病気や、薬物によっても、うつ病が起きる。

 なお、前頭前野は、うつ病になると、どのような変性が起きて、活動がおとろえているのか、まだ解明されていないが、ミトコンドリアの変調ではないかと疑って研究している人がいる。ミトコンドリアは、ブドウ糖をエネルギー物質に変換させるのに重要な役割をするので、うつ病の原因であるかもしれない。うつ病では、他の脳部位も変調が起きている。