前頭前野は感情・攻撃行動を抑制(1)

 感情や攻撃行動(キレる、暴力・犯罪)、エゴイズムを抑制できない人が多くて社会問題になっている。これを抑制する機能が前頭前野にある。これについて脳神経科学の研究をみておく。 前頭前野は感情や攻撃行動(キレる、暴力・犯罪)を抑制する機能がある。この抑制が十分でないと、心の病気になったり問題行動(自傷行為、暴力など)を起こしたりする。

 前頭前野のうち、背外側前頭前野は情動(感情)を抑制する。  眼窩前頭葉皮質も、感情や行動の抑制にかかわっている。  うつ病や不安障害の患者は、このような前頭前野の機能のおとろえがみられている。  セロトニン神経に作用する薬物療法で軽くなっただけでは、このような前頭前野の感情、行動の抑制機能が十分に回復していない場合が多く、薬物療法だけで、このような前頭前野の機能回復を自然回復(医者から指導されずに、自分で運動や趣味などをしたことにより)にまかせているのでは、完治までに長引く場合があり、なかには、自然には回復しない場合もあることが推測できよう。前頭前野の機能低下ということを理解し、その回復のための心理療法を積極的に行なうことが、うつ病、不安障害、依存症、境界性パーソナリティ障害(4)などの早期治癒に効果があるだろうということも推測されるだろう。