入院患者が自殺する:一般病院の3割で
過去3年間に入院患者が自殺したケースがあった病院は一般(総合)病院で29%(170病院で347事例)、精神科病院(精神科病床がある病院を含む)で66%(70病院で154事例)に上ることが、病院団体の調べで分かった。自殺予防の研修は一般病院では5%しか行われておらず、対策の遅れが浮き彫りになった。
財団法人「日本医療機能評価機構」から医療の質が高いと認定された医療機関の有志でつくる「認定病院患者安全推進協議会」(約1400病院)が会員を対象に05年8〜9月、アンケートを実施。回答率は一般病院が57.2%、精神科病院が64.2%。
一般病院で自殺した入院患者の疾病はがんが35%で最多。また、自殺前に「死にたい」などの意志表示や自傷行為、抑うつ状態などの予兆があったケースが一般病院で49%、精神科病院で67%に達した。しかし、病院内で自殺に関する講習会や勉強会を開催しているのは一般病院で5%、精神科でも43%しかなかった。
その患者にかかわった医療スタッフにメンタルケアが少ない
自殺後にその患者にかかわった医療スタッフに、何らかのメンタルケアが行われたケースは一般病院では17%しかなく、精神科でも34%にとどまった。
協議会は自殺する危険性のある患者のチェックリストとして
▽死や自殺の願望、意思を口にしている
▽家族や介護者、相談者がおらず孤立している
▽自身の身体や健康に無頓着である−−など
16項目を作成し、会員などに注意を促している。
( 毎日新聞 2007年4月25日 )
がん患者や重い病気の患者は、苦悩をかかえるので、うつ病になりやすい。毎年発表される自殺原因でも、健康問題での自殺は多い。当然に、リスクがあるのだが、入院中に自殺されるのだから、医療の専門家でさえも、ケアしていない実態があきらかになったのである。
がん患者は、強いストレスを受けているので、うつ病になるリスクがきわめて高い。うつ病の治療体制を作り、自殺を防止すべきだ。うつ病という病気の専門家であるはずの病院で、患者に自殺されるのは、いかにも不注意に見える。ぜひ、すべての病院で、自殺防止対策を作っていくべきだ。自殺対策基本法によって、病院は、対策をとる義務があるはずだ。。
また、これだけ、病院での対策が遅れていることを家族が理解して、家族も入院している家族が自殺されないような支援を求めるべきだろう。