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*** うつ病・非定型うつ病 ***

なぜ、呼吸法がいいのか

 心の病気を治したり、心の病気や自殺を予防したりするのに、自分を知ることが効果があります。心の洞察を加えた呼吸法は特にそういう効果があるでしょう。


◆つらい思考の渦巻きがうつ病に
 図の上をみてください。

●つらい思考の渦巻きがうつ病に
 何か悩みをもっているとか、ストレスを受けると、何かを見たり、聞いたり、感じたりして、長い考えに入ることが多くなります。その思考の内容が不満、怒り、不安、悲しみなどの感情を起すものである場合、 交感神経が興奮して、種々の身体症状を起こします。また、感情が起きるとHPA系(視床下部ー下垂体ー副腎皮質)が興奮して、副腎皮質からストレスホルモンが分泌されます。それが、脳内に入りこんで、前頭前野や海馬などを傷つけて、うつ病の症状が起きると推測されています。
 不安障害は何かしようとすると不安、動悸などを感じて、おそろしくなり、回避、逃避を繰り返します。
 これは価値崩壊の反応パターンです。こういうことを知らずに、また、否定的な思考を抑制する心のスキルも習得されていないので、価値崩壊の反応パターンを繰り返すのです。そのために、心の病気が治りにくいのです。

●対象、作用、作用するもの
 心の病気を予防したり、治癒させたり、再発を予防したりするためには、自分の精神作用(感覚、思考、感情など)についての作用側とその対象や内容の違いをよく知る必要があります。 たとえば、「自分はだめだ」と考える時、考えるという作用が起きています。「自分はだめだ」というのは、考えられた内容にすぎません。作用は対象よりも深いものですが、作用には、見る、聞く、感じる、考える、意志などもありますが、作用そのものは自己自身ではありません。作用の根底に、対象と作用を包むものがあります。見るもの、考えるものがあります。自分はだめだというのは真の自己ではありません。考える作用も真の自己ではありません。考える根底に真の自己があります。呼吸法をしながら、自分の心の作用を観察します。 (こうした自己を深く知る探求をしていくのが、 自己洞察瞑想療法です。)
 呼吸法を行いながら、自分が考える傾向があることを自覚します。呼吸法をたくさんおこなうと、自分の心理現象、心理作用をよく観察できるようになります。観察する作用は意志作用です。 災害などにあうのは、つらいことですが、解決策のない、つらいだけの思考えを渦巻かせていると、上記のような神経生理学的反応によって、うつ病になってしまいます。 よく呼吸法を行って(1,2分でもいいから、毎日2−30回でも)いると、つらい思考に気づいて、ストップできるようになります。
 考えは、すぐに動いていきますが、暴走させているとうつ病になるおそれがあります。つらい内容の考えはなるべくコントロールしましょう。感情は起きてしまったらコントロールできません。しずまるまで待つしかありません。しかし、思考は呼吸法を応用した練習でコントロールできるようになります。思考を観察して、止めたり、他のもの(建設的な目的行動など)に意識を向けたりする、自分の心理作用をうまくコントロールする作用は意志作用です。

●意志作用
 呼吸法は「行為」です、思考ではありません。呼吸法は自己を洞察する意志作用です。静かに坐って、呼吸法を行って、その時の作用と対象を観察しています。自己の意志として、自己の作用を観察する行為をしています。自己の種々の作用を知りつつ、意志の実現として呼吸法を実行しています。 不快の思考だけにとらわれていると、うつ病になると心得て、呼吸法を行いながら、自己についてよく知ることができるので、必要ならば悲観的な思考をストップすることができて、心の病気を予防できるのです。
 解決策の出てくる建設的な思考は当然、すべきです。そういう前向きの思考が出てこない場合には、周囲のリーダー、カウンセラー、医師などの支援を求めるべきです。

●家族に感情的にならない
 災害にあうと、失ったものが大きく、避難所の生活もつらいので、 後悔、批判、不満、悲しみ、絶望、将来の不安などのことを考えて、 ついつい不快な感情を起す思考に入ります。そういう心理状況は感情が起きていますので、「心のボヤ」状態です。そういう状態にあると、 家族や他の人の言葉や行動を見て、不満、不愉快な思考が起こりやすく、ずっとあった感情「心のボヤ」状態から、激しく怒るという、火が燃え上がる「心の火事」状態になりやすいです。他の人もかなしく、つらいのです。ささいなことは許してあげないと、みな悲しくなります。心の病気においこむことにもなります。
 呼吸法をして、交感神経をしずめ、副交感神経を活性化させておいて、自分の 心をよく観察して、冷静な心で、つらい状況を乗り越えていくしかありません。

 予防的には、こういう心得でいいですが、おいつかずに、眠れない、頭痛、ひどい落ち込みなどうつ病の症状が出たらカウンセラーや医者に相談して治療に移ることになります。