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「重要他者リスト」と「転移仮説の構築」

CBASP=アメリカの新しい心理療法
(慢性うつ病の新療法:CBASP)
第5章 変化への動機付けを強化するための戦略
 アメリカで開発された慢性うつ病の心理療法の概略をみていく。
 第5章のうち、「重要他者リストの作成」と「対人関係転移仮説の構築」の概要について述べる。

重要他者リストの作成

 第2回セッションでは、重要他者に関する情報を明確にする。
 ただ、治療には、注意すべきことがある。(90頁、ここでは省略)

対人関係転移仮説の構築

 第2回セッションの次に、患者が重要他者に対してどのように反応してきたかを、どのように治療関係に転移しているかについて、具体的な仮説をたてる。その時、4つの領域を考慮する。
 例えば、ある患者に対して次のような2つの仮説が立てられた。  こうして、治療者は、患者の繰り返される反応パターンをあらかじめ想定(仮説)しておいて、患者が同じような反応を始めた時に、途中からは同じ行動や結果にならないようにもっていこうとする。
(大田)
 ここまでで、3回の面接である。まだ、具体的な助言はない。だから、患者にとっても、相当に長期間(20〜30回)の通院(個別カウンセリング)の覚悟が必要である。重症の慢性うつ病であるから、当然であろう。患者も治療者も、両方ともに、時間と労力と費用を必要とする。しかし、それでも、その程度の期間で、治るのであれば、患者や家族にとって、その後の人生が大きく変わるのである。こういう治療を試みる価値がある。