Home 治療法の現状と課題

状況分析のステップ

CBASP=アメリカの新しい心理療法
(慢性うつ病の新療法:CBASP)
第6章 状況分析の導入
第7章 状況分析の修正段階
第8章 行動を修正するために治療者ー患者関係を用いる

 アメリカで開発された慢性うつ病の心理療法の概略をみていく。
 第6章、7章は、状況分析の詳細であるが、ステップだけを掲げておく。8章は、患者の感情的な態度・行動を積極的に変革させようとする手法が記述される。

対処方法質問票(CSQ)

 第2回セッションの終了時に、患者に、「対処方法質問票(CSQ)」を、何枚か渡す。患者には各セッション前に最低1枚、記入してきてもらう。
 次のような「注意」が記載されている。  CSQには、次の6項目を記入する。  面接のたびに、患者が持ってきたCSQを見ながら、治療者は、「状況分析」を始める。状況分析のうち「明確化段階」は、次のステップで進められる。6章に詳述される。  この「明確化段階」がおわると「修正段階」である。
 修正段階は、次のステップで行われる(7章)  面接の中で、治療者ー患者関係を用いる手法がある。(8章)
(大田)
 このように、患者からカウンセラーが怒りを覚えるようなことを言ったり、されたりすることがあるが、無視、受け流し、傾聴だけせずに、患者の態度が問題であることを指摘して、積極的に、患者の感情処理、態度、行動を修正しようとしている。患者が変革するように導かないと治らない。慢性うつ病は、このような積極的なカウンセリング技法でないと治らないとしたら、日本も、こういう手法を駆使できるカウンセラーを育成すべきである。1度や2度の電話相談、相談機関での相談、インタネット相談などでは、慢性の患者(うつ病、自殺、自傷等)には、解決困難な場合が多いのは確かだろう。相談機関だけではだめだ、治療機関が必要である。しかも、心理療法によって治療する機関が。
(この点について、本書の著者は、従来のカウンセリングの考え方を批判している。その点は、次の記事にする。)