「自己洞察瞑想療法」の方法(概要)

社交不安(対人恐怖・あがり症)

あがり症

 人前での行動、行為において、強い不安を感じて、話せなくなる、頭が真っ白になる経験があり、それをおそれる「あがり症」がある。次のような例がある。

 不安があまりに強いと、パニック発作のような症状を示したり、その場での役割をはたすことができない。 そのことに対する予期不安的な恐怖がこうじて、同様の状況に直面することを避けてしまう。そうすると、学業、仕事に支障をきたしたり、文化・趣味などの活動を回避するようになる。本当は、実力があるにもかかわらず、不安を恐れるので、実力を発揮できないのを悩む。
 対人恐怖には、赤面恐怖、視線恐怖、表情恐怖、醜形恐怖、自己臭恐怖、などがあり、「あがり」は、こういう恐怖が複合されている。
 主として人前での行為に関する恐怖、または一般的社会状況の恐怖に限定されている。またあがり症は一般の不特定の人々の前での恐怖であるが、他の対人恐怖は、むしろ多少とも関係があるか、または今後関係をもたねばならない人々との間で生じる。
 こういう症候群に共通する特徴がある。思考や行動の根底の「スキーマ」(SIMTでの「本音」の一種)になっている。

 対人恐怖的症状を除けばほかの精神症状はない。

自己洞察瞑想療法ではどうして治すか

 あがり症の治しかたも、他の社交不安(対人恐怖)と同様の方法をとる。 「自分」「心」を、日常生活の場で観察し、自分の心を実践的に知り(呼吸法・行動時自己洞察を用いる)、心の用い方を実践的に変えていくのである。また、自分を欠点あるものとか、自分の自然な心の様子をとりのぞくべきだという観念(本音)があるのを、変えていく。毎月1回ほどのカウンセリングに参加し、毎日の課題を実行する。自分の不安がおこる仕組み、それが永続しないこと、それが破局的結果にならないことをよく理解できるようになる。そして、予期不安が起こり始めた時、あるいは情動性自律反応が起こった時、自分の価値の行動をとる方法(価値実現の反応)を繰り返し試みる。

日常生活で起きる不安などの感情・本音を観察して、価値実現の反応ができるようになるまで3〜6か月の呼吸法、行動時自己洞察を繰り返し、不安に対処できるようになったとき、やさしい状況での発表から実地に試していくので、だんだん「あがり」に対しても、自信がついてくる。
 こうして、本音があっても、不安感情が起きても自信ができてきたところで、やさしいことから、現実場面に出ていく。クライアントが、予期不安を起し、回避する行動・場所を、そのクライアントの場合について、「不安階層表」を作り、やさしいものから実行していく。
 こういう方法で、軽くなる人もいるが、根気よい実践が求められるので、効果がでない人もいる。

 

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